ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、ロシアの製油所に対する攻撃を再開すると表明した。トランプ米大統領が仲介したエネルギー施設への攻撃停止合意をロシアが違反し、ミサイルや無人機による空襲を繰り返したためとしている。
ウクライナがロシア製油所攻撃の再開を表明
ウクライナのゼレンスキー大統領は15日付の英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、ロシアの製油所攻撃の停止は終わったと述べた。ロイターなどの報道によると、トランプ米大統領が11日にロシアとウクライナの間でエネルギー施設への攻撃停止合意を発表して以降、ウクライナ側はロシア製油所への攻撃を止めていた。しかし、その間もロシア軍による発電所などの重要インフラへの攻撃や、民間人を標的とした空爆が相次いだ。ゼレンスキー氏は、ウクライナの忍耐は限界に達したと強調している。
首都キーウや各地のエネルギー施設への猛烈な空爆
Forbes JAPANの報道によると、ロシア軍による空襲は10月11日から14日にかけて激化した。ロシアは首都キーウや北東部ハルキウに対し、弾道ミサイルや無人機による大規模な攻撃を強めた。キーウでは13日夜から14日朝にかけての攻撃で5人が死亡し36人が負傷したほか、市内にある熱電併給発電所3カ所がすべて攻撃を受け、少なくとも60万人が停電の被害に見舞われた。さらに12日にはハルキウでのミサイル攻撃で緊急対応要員を含む4人が死亡し、ピソチンでも16歳の少年を含む3人が死亡するなど、民間人の犠牲が相次いでいる。
米国の情報提供やスターリンク制限をめぐる摩擦
ゼレンスキー氏は、ロシア軍による12日と13日の弾道ミサイル攻撃に関して、米国の衛星による探知や同盟国からの警報が届いていなかったと明らかにした。米CBSニュースによると、米当局は気象条件を理由に挙げたが、ウクライナ側は異を唱えている。また、スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」の軍用版端末について、機能変更によりウクライナのドローン運用能力が制限された。イーロン・マスク氏は速度や利用の制限が米軍とトランプ氏の決定によるものだと投稿しており、ウクライナ国内では米国製技術への依存をめぐる懸念が深まっている。
リャザン州の製油所火災とプーチン大統領の報復警告
こうしたなか、15日にはロシア中央部リャザン州の製油所がウクライナの大規模なドローン攻撃を受け、火災が発生したと伝えられている。同製油所は国営石油大手ロスネフチが所有し、ロシアの石油精製処理量の約5%を占める重要拠点である。ロイターの報道によると、ロシアのプーチン大統領はウクライナによる国内石油精製施設への攻撃に対して報復すると表明した。一方で、ロシア側はウクライナの攻撃による特に重大な被害は出ていないと主張している。
パトリオット追加供与を条件とする米国との交渉
ゼレンスキー氏はフィナンシャル・タイムズのインタビューで、米政府がロシアとの商業取引に熱心である姿勢や、トランプ氏がプーチン氏に称賛を抱いているように見えることを批判した。米政府からは、ロシアのエネルギーインフラへの攻撃を停止しなければ情報提供を遮断するという警告が出されていたという。ゼレンスキー氏は、米政権との関係修復に向けて攻撃停止に応じる条件として、米国製地対空ミサイル「パトリオット」の迎撃弾追加供与を挙げている。