カナダを欧州連合(EU)初の「準加盟国」とする構想が、30日からモントリオールで開かれるEU・カナダ首脳会合の共同声明に盛り込まれないことが分かった。ロイターが入手した草案で判明したもので、関係の定義付けには少なくともあと1年を要する見通しとなった。
共同声明から消えた「準加盟国」の文言
30日に開幕するEU・カナダ首脳会合は、カナダのカーニー首相が主催する。ロイターの報道によると、会合では両者の関係を一段と緊密化することで合意する見込みだが、共同声明の草案には「準加盟国」という表現が含まれていない。これまでの共同声明案には、カナダを「準加盟国」と位置付ける記述が少なくとも2カ所盛り込まれていた。しかし、定義を巡る調整が難航し、作業は来年の首脳会合まで継続されることになった。
EU加盟国間で見解が割れる法的地位
「準加盟国」という概念には、現時点で前例も法的定義も存在しない。この構想は、9月16日に欧州委員会のフォンデアライエン委員長が欧州議会での一般教書演説で表明したものだ。カーニー首相は翌日の演説でこれに賛同し、米国と中国が支配する世界で民主主義や市場を守るための連携強化を訴えていた。しかし、ドイツを中心とする一部のEU加盟国からは、法的地位が不明確であり内容も具体化されていないとして、構想の受け入れに慎重な意見が出ている。
トランプ米大統領による強い反発
カナダのカーニー首相にとって、欧州との関係強化はトランプ米大統領による関税措置に対抗するための戦略的な柱の一つとなっている。しかし、この接近は米国の反発を招く火種ともなっている。トランプ大統領は、カナダをEUの「準加盟国」とする提案について「ばかげている」と批判した。さらに、こうした動きを「敵対行為」と見なした場合には、欧州との貿易を多くの分野で停止する可能性があると警告している。
今後の関係定義に向けた1年の猶予
- 9月16日:フォンデアライエン委員長が「準加盟国」構想を表明
- 9月17日:カーニー首相が欧州議会で同構想を歓迎する演説を行う
- 9月30日:モントリオールでEU・カナダ首脳会合が開幕
カナダとEUは、今後1年間かけて「準加盟国」という新たな枠組みの法的妥当性や内容について精査を進めることになる。この未踏の地位を確立できるのか、あるいは既存の枠組み内での連携強化に留まるのか。次回の首脳会合に向けた両者の調整が、今後の北大西洋を巡る貿易と外交の力学を決定づけることになる。