米国のドナルド・トランプ大統領が自動車や鉄鋼などカナダ製品への50%関税を予告し、カナダのマーク・カーニー首相が報復を表明したことで、両国間の貿易摩擦が激化している。オオンタリオ州のダグ・フォード首相は、カナダ側が電力や重要鉱物の輸出停止も辞さない構えを見せている。
トランプ大統領の50%関税予告とカナダ側の反発
米国とカナダの間で貿易をめぐる対立が急速に深まっている。米国のドナルド・トランプ大統領は、カナダからの自動車やトラック、自動車部品、そして鉄鋼製品に対して50%の関税を課す方針を示した。この新たな関税措置の適用開始は2027年1月1日を予定している。
土壇場での交渉決裂とジェームズ・グリア通商代表の発言
今回の急激な緊張の高まりは、ワシントンで行われていた数週間に及ぶ貿易交渉が土壇場で決裂したことが発端となっている。カナダのマーク・カーニー首相は、米側が不当かつ経済的に受け入れ難い新たな条件を直前になって提示してきたとして、先週金曜日にカナダ側の交渉団を首都オタワへ引き上げさせた。
交渉決裂の責任をめぐっては、米国のジェームズ・グリア通商代表が月曜日にインタビューに応じ、カナダ側が直前になって要求を吊り上げたためであると非難した。

グリア通商代表は、米国側が鉄鋼やアルミニウムの関税を半分に引き下げ、自動車や軟材などの分野でもカナダ側に歩み寄る柔軟な姿勢を示していたと強調した。しかし、カナダ側が政治的な動機からさらに多くの譲歩を求めたため合意に至らなかったとの見方を示している。
これに対し、カナダのカーニー首相は、米国が課した一連の関税措置について「われわれは攻撃を受けた。戦争状態にある」と強い不満を表明。米国が約200億ドル相当のカナダ製品に対して50%の関税を発動したことを受け、カナダ側もドル対ドルの報復関税を9月8日から実施すると発表している。
オオンタリオ州のダグ・フォード首相による電力および鉱物輸出停止の警告
フォード首相は、米国が製造業の基盤を解体しようとするならば、オオンタリオ州から米国向けに送電している電力や、軍事や電子機器に欠かせない重要鉱物の輸出を遮断することも辞さないとの姿勢を明確にした。
ダグ・フォード(オオンタリオ州首相)はAP通信とのインタビューで、あらゆる手段を検討しており、必要なことは何でも行うと述べた。
フォード首相は、オオンタリオ州が高品位のニッケルや精製ウランなどを米国に供給している事実を挙げ、「砂一粒たりともオオンタリオ州から手に入れることはできない」と述べている。さらに、同州の電力がミシガン州やミネソタ州、ニューヨーク州など米国の150万世帯や企業を支えていることを引き合いに出し、輸出停止や価格引き上げといった報復措置を実行に移す可能性を示唆した。