独立した仲裁人は、ワシントン・ポスト紙がコラムニストのカレン・アティア氏を不当に解雇したとの判断を下し、同紙に彼女の復職を命じました。サラ・ミラー・エスピノサ仲裁人は、同紙にはアティア氏の雇用を終了させるためのgood and sufficient cause
(正当かつ十分な理由)がなかったと結論付けました。
この裁定により、ワシントン・ポスト紙はアティア氏を復職させるとともに、解雇期間中の未払い賃金(バックペイ)および失われた福利厚生に対する補償を行う必要があります。
解雇の経緯と問題となった投稿
アティア氏は2025年9月、保守派活動家でTurning Point USAの創設者であるチャーリー・カーク氏がユタ州の大学イベントで射殺された際、SNSのBlueskyに投稿した内容を理由に解雇されました。
ワシントン・ポスト紙がアティア氏に送付した解雇通知書によると、同社は彼女の投稿が、人種や性別などの保護されるべき特性に基づいて個人を誹謗することを禁じる社内ポリシーに違反していると主張しました。問題となった投稿には以下の内容が含まれていました。
- 暴力的に振る舞った白人男性のために、服を破り顔に灰を塗りつけるというパフォーマンス的な喪に服すことを拒否することは……暴力と同じではない
- アメリカをこれほど暴力的にし続けている要因の一つは、憎しみと暴力を助長する白人男性に対して、配慮や空虚な善意、免罪を演じさせようとする強迫観念にある
同紙はこれらの投稿が社内ポリシーに準拠しておらず、新聞社の「誠実さ(integrity)」を損なったとして、彼女に「重大な不適切行為(gross misconduct)」があったと主張しました。
仲裁人による判断の根拠
エスピノサ仲裁人は、アティア氏の投稿が「すべての人種や性別に基づく白人男性、あるいは特定の白人男性を誹謗していた」と結論付けることは合理的ではないと述べました。また、個人の人種や性別を認識すること自体が、直ちに人種や性別に基づく誹謗にあたるわけではないと指摘しました。

さらに、裁定では以下の点が重視されました。
- アティア氏は同紙に11年間勤務しており、過去に懲戒処分を受けたことがなかったこと。
- 解雇に至るまでの段階的な懲戒手続きが踏まれていなかったこと。
- 以上の状況から、会社側が彼女の「重大な不適切行為」を証明する必要があったが、それに失敗したこと。
仲裁人は、同社が課した解雇という処分はabsolutely disproportional
(完全に不釣り合い)であったとして、労働協約に違反したと認定しました。
社内の対立と決定プロセス
今回の解雇決定に関わった当時の人物たちの証言により、社内の状況が明らかになっています。
当時、ジェフ・ベゾス氏によって「自由市場と個人の自由」に焦点を当てたセクションへの刷新を任されていた右派寄りのオピニオン編集者アダム・オニール氏は、アティア氏の投稿を「許容しがたい」として、当時の最高経営責任者(CEO)ウィル・ルイス氏らに報告しました。ルイス氏は最終決定権を持っており、3名で合意した結果、解雇が適切な対応であると判断されました。
なお、オニール氏とルイス氏はともに、その後職を辞しています。
当事者の反応
アティア氏は、自身の投稿はオピニオンコラムニストとしての職務の一環であり、アメリカにおける「政治的暴力」や「銃暴力」に関する言説にコメントしていたものであると主張しています。彼女は声明で、「オピニオンジャーナリストとして仕事をしていたのであり、それが不適切行為ではないことが確認された」と述べ、記録が正されたことに安堵したと語りました。

一方、ワシントン・ポスト紙の広報担当者は、仲裁プロセスを尊重すると述べるにとどまり、その他のコメントは控えています。