ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長が進める「別荘税(ピエ・ダ・テール税)」の導入計画に対し、スタテンアイランド最高裁のウェイン・オッツィ判事は月曜日、一時的な差し止め命令を下した。この決定により、市当局による90万人以上の住宅所有者の個人情報公開と、課税対象者の選定プロセスが一時的に停止された。
裁判所が下した「別荘税」導入停止の決定
ニューヨーク市のマムダニ政権が推進してきた、500万ドル以上の住宅や100万ドル以上のコンドミニアム・共同住宅を対象とした「別荘税」の導入プロセスが、司法判断によりブレーキをかけられた。スタテンアイランド最高裁のウェイン・オッツィ判事は、3人の住宅所有者が市を提訴した裁判において、8月31日の審理まで課税に関するあらゆる措置を禁止する一時的な差し止め命令を発出した。
この訴訟を主導した元副市長のランディ・マストロ弁護士は、市が住宅所有者の氏名、住所、資産価値を網羅したリストを公開したことに対し、法廷で激しく非難した。マストロ氏は、市が本来行うべき「個人ごとの適格性判断」を怠り、誤った通知を大量に送付したと指摘している。
「市はこの計画を台無しにした……間違っている。一度立ち止まって、やり直させるべきだ」 ランディ・マストロ、原告側弁護士(Fox News報道)
90万人リスト公開と「不適切な通知」への批判
今回の司法判断において特に問題視されたのは、市が90万人以上の住宅所有者の個人情報を公開した点である。オッツィ判事は決定文の中で、市がこのようなリストを公開することを許可あるいは義務付ける法律は存在しないと断じた。この公開により、多くの所有者が誤って課税対象とみなされ、免除申請の手続きに追われる混乱が生じていた。
市当局は当初、この課税によって年間約5億ドルの税収を見込んでいた。しかし、原告側は、市が州から提供されていたデータを活用せず、住民に対して自らの居住実態を証明する負担を押し付けた点を批判している。マストロ氏は、通知を受け取った多くの住民が「自分たちが居住しているにもかかわらず、課税対象としてリストアップされた」と主張しており、この状況を「非常識で正当ではない」と評した。
市側の主張と今後の審理の行方
一方、市側の代理人を務めるスティーブン・バンクス弁護士は法廷で、課税プロセスを凍結することは、免除を求めている納税者にとって不利益になると反論した。市はすでに財務局に対して3,801件の異議申し立てが提出されていることを明らかにしており、課税計画の停止が行政手続きの遅延を招く恐れがあると主張している。

市側は、原告の一人であるサイモン・ヘドリー氏が、自身の納税申告書を提出することで即座に免除を認められた事実を挙げ、現在のプロセスでも十分に救済が可能であると強調した。しかし、判事は市が送付した17,000件の通知について、法的に適切な手続きを経たものではないとして無効化する判断を下した。
今回の訴訟は、課税そのものの是非を問うものではなく、マムダニ政権による「導入プロセスのずさんさ」を争点としている。裁判所が8月31日にどのような最終判断を下すか、また市がどのように対応を修正するかが、今後の焦点となる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税対象(住宅) | 500万ドル以上の3世帯住宅 |
| 課税対象(コンド・共同住宅) | 100万ドル以上 |
| 税率 | 最大1.3%〜6.5%(物件価値による) |
| 市の推定税収 | 年間約5億ドル |