2026年8月にプリマス上位裁判所で始まったリンダ・クランシーの殺人裁判は、第2週を迎え、検察側が証人として友人や元義父を召喚した。裁判では、検察側が計画的な犯行を主張する一方で、弁護側は産後精神病による責任能力の欠如を主張し、双方の対立が続いている。
法廷に響いた悲痛な証言と検察側・弁護側の対立
2026年8月上旬、マサチューセッツ州プリマスのプリマス上位裁判所で行われているリンダ・クランシーの裁判は、事件の核心に迫る証言が相次ぎ、重大な局面を迎えている。被告である35歳のリンダ・クランシーは、2023年1月24日にダックスベリーの自宅で、5歳の娘コーラ、3歳の息子ドーソン、そして生後8か月の息子カランの3人を絞殺したとして、第1級殺人の罪で起訴されている。彼女は無罪を主張している。

検察側は、夫を用事で外出させた上で犯行に及んだ計画的な犯行であり、被告が自身の行動を完全に認識していたと主張している。これに対し、弁護側の弁護士ケビン・レディングトンは、被告が過剰な投薬と重度の産後精神病に苦しんでいたと反論している。
カランちゃんの司法解剖写真と揺れる法廷
裁判の第2週目、法廷は極めて感情的な緊張に包まれた。検察側が末っ子カランちゃんのエピソードとして司法解剖の写真を陪審員に示した際、リンダ・クランシーは制御不能なほどに号泣し、裁判所は急遽休廷を余儀なくされた。マサチューセッツ州ボストンの主任検視官事務所の医療検視官であるキンバリー・スプリンガーが証言台に立ち、首の絞めつけによる機械的窒息の合併症が死因であると説明した。

裁判の過程では、事件前の日常や母親としての様子についても証言がなされた。事件前、被告の友人や知人らは、彼女が育児や睡眠不足、そして処方薬の副作用による精神的負担に苦しんでいたことを証言している。友人のエイミー・ビビンズは、事件の数日前に被告から薬の副作用で暗い思考が生じていると連絡を受けたと証言した。別の友人のベサニー・デコリブスも、被告が産後に疲労を募らせ、自分を「ゾンビ」のように感じていると語っていたと証言した。
元義父クリストファー・クランシーの証言と家族の記憶
木曜日の公判には、夫パトリック・クランシーの父親であり、子どもたちの祖父にあたるクリストファー・クランシーが証言台に立った。彼は事件前、一家が「まるでアメリカの理想的な家族のようだった」と振り返り、被告が子どもたちと多くの時間を過ごす良き母親であったと述べた。

一方でクリストファーは、事件の数か月前から嫁の健康状態や精神的な不調に気づいており、クリスマスや感謝祭の時期にはいつもより静かで様子が異なっていたと語った。事件当夜、息子から受け取った電話については「本当にひどいものだった」と振り返っている。
今後の裁判の行方と医学的責任能力の争点
裁判では、当時の精神状態だけでなく、事件直後の自殺未遂の真偽や、医療従事者による治療の適切さについても議論が及んでいる。弁護側は、被告が幻聴に悩まされ、「これが最後のチャンスだ。子どもたちを殺して自分も死ね」という声を聞いたと主張している。これに対し、検察側は女性のメンタルヘルス全般の議論ではなく、あくまで被告個人の刑事責任を問う裁判であると強調している。
裁判長であるウィリアム・サリバン判事は、証拠として提出された解剖写真や911通報の音声記録について、一般公開を制限する決定を下した。有罪となれば仮釈放なしの終身刑が言い渡される可能性があり、責任能力なしと判断されれば州立の精神医療施設へ収容されることとなる。裁判は今後も証人の尋問や専門家の証言を交えて続けられる予定である。