高市早苗首相の就任から21日で1年を迎えるなか、外交・経済の両面で結びつきの深い日中関係は依然として厳しい冷え込みが続いている。ロイターの取材に対し、政府関係者からは「高市政権のうちは関係改善が難しい」との見方が示されており、来月に控える国際会議での首脳会談の行方も不透明な情勢となっている。
衆院選での圧勝がもたらした誤算と硬直化する外交
今年2月8日投開票の衆院選で、自民党は圧勝を収めた。外務省関係者らは当初、強い基盤を持つ長期政権が誕生すれば中国側が対話に応じざるを得ないと期待していた。しかし、選挙での「勝ち過ぎ」がかえって仇となった。台湾有事をめぐる高市首相の発言を撤回しない強硬路線が、選挙の勝利によって信認を得てしまったという見方が強まり、中国側との公式なハイレベル対話は実現していない。これまでの共通認識だった関係維持の仕組みが崩れつつあると、ロイターは報じている。.
中国が仕掛ける「高市外し」と統一戦線工作の実態
中国の対日戦略には大きな変化が見られる。キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)上席研究員の峯村健司氏はYahoo!ニュースの取材に対し、中国は5月以降「高市氏とその他の勢力を分け、その他を中国に取り込むことで高市氏を孤立させる戦略」に切り替えたと指摘する。自民党の岩屋毅前外相が9月下旬に訪中し、王毅外相や何立峰副首相らと会談したことも、こうした統一戦線工作の一環であると分析されている。中国側は高市首相の肩書を外して呼び捨てるなど、政権トップに対する圧力を緩めていない。

岩屋前外相の訪中が浮き彫りにした政府内の温度差
自民党の岩屋毅前外相は9月27日から中国を訪れ、要人らと相次いで会談を行った。時事ドットコムのインタビューによると、王毅外相は日本側に対し「問題を解決するのは問題を起こした人であるべきだ」と述べ、首相による発言の是正を重ねて求めた。一方、何立峰副首相は軍事用途以外の重要鉱物の輸出規制について「民生用なら大丈夫だ」と語るなど、経済交流には前向きな姿勢を示した。政府関係者の間では、この民間レベルの対話が国家間の関係修復につながるかについて、見解が分かれている。

高市政権2年目の成否を握る11月のAPECと独自戦略
11月には中国・深圳でアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催される予定で、現時点で今年の日中首脳会談の見通しは立っていない。.