岩屋毅前外相が9月下旬に訪中し、中国の王毅外相および何立峰副首相と会談した。日本国際貿易促進協会の会長として現地入りした岩屋氏は、高市早苗首相に対する中国側の不信感が依然として根強く、日中間の対話窓口が事実上閉ざされている現状をロイターの取材で明らかにした。ロイターが2日に報じた。
高市早苗首相への厳しい姿勢と王毅外相の反応
岩屋氏は9月28日に王毅外相と、翌29日には何立峰副首相と北京で会談した。ロイターによると、岩屋氏が政府間の対話再開を強く要請したのに対し、王氏は「呉江浩駐日大使に任せてある」と述べるにとどまり、直接的な対話再開には慎重な姿勢を崩さなかった。西日本新聞meの報道では、王氏は会談の中で高市氏の台湾問題をめぐる発言について「指導者による誤った発言をなるべく早く是正することが必要だ」と強く要求している。中国側は高市氏が昨年11月に国会で台湾有事について言及したことを問題視しており、今回の会談でもその姿勢を改めて突きつけた形だ。
レアアース輸出管理を巡る現場の停滞
何立峰副首相との会談では、中国によるレアアースの対日輸出管理の適正化が議論された。岩屋氏はロイターに対し、中国からの輸入が「現場ではかなり滞っている」と懸念を表明した。これに対し、何氏は「民生用であれば問題ない」と回答したという。岩屋氏は中国商務省に対しても同様の要請を行っており、今後、個別具体的な交渉を通じて輸出管理の正常化を図る必要性を強調した。西日本新聞meは、何氏が経済協力の重要性を認めつつも、日本の一部政治家による軍国主義の正当化が「悪影響を及ぼしている」と批判したと伝えている。
ミドルパワーとしての日本外交のあり方
岩屋氏は自身の外交観として、「日本は大国ぶる必要はなく、ミドルパワーである」と明言した。日米同盟を基軸にしつつも、中国と安定的な関係を構築することが日本外交の要諦であると主張する。同氏は「花は咲き誇ったりはしない。自然体でありのままに咲いているから美しい」と例え、過度な対外姿勢を戒めた。中国側に対しては「原因を作ったのはこちら(日本)なのだから、こちらから積極的に動くべきだ」と指摘し、日本政府による一層の努力を求めている。

日中両政府の現状認識と今後の見通し
日本政府は岩屋氏の訪中について、あくまで「民間の経済団体の動向」であるとして公式なコメントを控えている。一方、高市首相は10月1日の日本テレビのインタビューで、中国との建設的かつ安定的な関係構築の方針は一貫していると強調した。現在も各レベルでの対話は続いていると主張し、国益の観点から冷静に対応する姿勢を示している。西日本新聞meは、関係改善の糸口として11月18、19日に中国・深圳で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での日中首脳会談の実現を望む声があることを報じた。首脳同士の対話が実現するかどうかが、今後の日中関係の分水嶺となる。