北朝鮮の金正恩国務委員長の夏の別荘がある元山の海岸で、全長80メートルの豪華船を含む大型船舶4隻が繰り返し確認されたと、英BBC放送が18日に報じた。船舶の甲板には長さ50メートルのプールや複数のウォータースライダーが設置されており、深刻な食糧不足に苦しむ住民の現実との対照が指摘されている。
元山沖の別荘周辺で確認された4隻の大型船舶
英BBC放送は18日、今年7月から10月中旬までの元山沿岸の衛星写真を分析した結果を公表した。金正恩委員長の夏の別荘がある海岸のリゾート地近くには、今年元山一帯で長さ50メートル、55メートル、60メートル、80メートルの大型船舶4隻が繰り返し現れていた。このうち最も大きい全長80メートルの船舶は、数カ月間整備施設に停泊した後、今年7月初めに葛麻半島沖へ移動し、今月半ばまで同じ海域でとらえられた。船の甲板には長さ50メートルのプールと複数のウォータースライダーが設置されており、中央日報日本語版などの報道によると同程度の豪華ヨットの価格は1億ドル(約157億円)前後と伝えられている。
島々と小型ボートを活用したプライベートな空間
衛星写真では、全長50メートルの船舶の横に小型ボート4隻が共に停泊している様子も確認された。衛星画像専門家のチョン・ソンハク氏は、小型ボートが大型船舶に人や燃料、物資を運搬する役割を果たしていると説明している。また、全長50メートルと55メートルの船舶は今年8月末まで元山近郊の大島と薪島周辺で繰り返し確認されており、こうした小さな島々は外部の視線を避けてプライバシーを保てる海上のリゾート地としての役割を果たしていた。全長60メートルの船舶についても、最近まで金正恩委員長の元山の別荘付近でとらえられていたことが分かっている。
金氏一族の保養地としての歴史と証言
元山は、金正恩委員長が幼少期に母親とともに過ごした場所として知られ、父親の金正日総書記の時代から金氏一族の保養地として利用されてきた。元北朝鮮労働党39号室で勤務していたリ・ジョンホ氏はBBCに対し、「冬には船舶を造船所で保管しておき、夏になると金正恩の別荘や葛麻の方へ移動させて、水泳やレジャー活動に使用していた」と語っている。さらに、1990年代から2000年代初めにかけて金正日総書記が利用していた官邸で13年間にわたり警護を担当した脱北者も、元山一帯の別荘が北朝鮮のエリート層の保養地として使用されていたと証言している。
深刻な食糧不足と対照をなす指導部の生活
北朝鮮住民の相当数は慢性的な食糧不足に苦しんでおり、指導部との生活の乖離が指摘されている。2025年の国連報告書によると、北朝鮮では広範囲な強制労働と慢性的な食糧不足が続いており、全人口のおよそ40%が栄養不足の状態にあると推定される。また、脱北者たちは、住民には法的に年間14日の休暇が保障されているものの実際にはほとんど守られておらず、居住地域を離れて旅行するには当局の許可が必要であると伝えている。イ・ジョンホ氏はYahoo!ニュースなどの報道において、「一般住民は一日一食にも苦労しているが、金正恩はこのような豪華船を4隻も保有している」と批判している。
今後も続く実態解明と情報収集の行方
これらの大型船舶の公式の所有者は確認されておらず、船舶の正確な価格についても公的な数字は明らかにされていない。北朝鮮国営メディアは、指導者のこうした休暇や余暇活動を直接報道することはなく、現地指導や視察活動として装って宣伝を続けている。衛星写真の分析や元官僚らの証言によって実態の一端が明らかになる中、外部からアクセスが制限された北朝鮮国内における指導部の資産管理や経済の実態に関する情報は、今後も衛星画像の解析や脱北者からの証言を通じて検証されていくことになる。
