2026年9月12日にニューデリーで開催されたBRICS首脳会議で、中国の習近平国家主席はインドのモディ首相と7年ぶりに会談した。中国側は「パートナー」としての共通認識を強調したが、インド側の公式発表にはその文言は含まれず、両国の戦略的距離が改めて浮き彫りとなった。
中印首脳会談で露呈した「パートナー」の認識差
9月12日、インドのニューデリーでBRICS首脳会議が開かれた。中国の習近平国家主席にとって、インド訪問は7年ぶりのことである。会談後、中国側は「中国とインドはパートナーであるべきだという重要な共通認識に達した」と発表した。しかし、Yahoo!ニュースおよびInfoseekニュースが報じたところによれば、インド側の公式発表には「パートナー」という言葉は記されていない。インドが代わりに強調したのは、国境地域の平和と安定、そして構造的な貿易不均衡やサプライチェーン問題といった具体的な課題の解決だった。この認識の乖離は、両国間の戦略的連携に対する温度差を如実に示している。
中国がインドとロシアを必要とする構造的理由
中国にとってインドとロシアという二つの大国は、自国の経済モデルを支える極めて重要な存在だ。Infoseekニュースによると、中国の対中貿易赤字は年間1000億ドルを超えており、インド市場は中国が抱える消費の弱さを補う役割を期待されている。また、エネルギー面ではロシアが不可欠だ。2026年8月時点で、ロシア産原油は中国の海上輸入の23%を占めている。中国の「世界の工場」モデルは、インドの消費市場とロシアのエネルギー供給に強く依存しており、この関係が揺らぐことは中国経済にとって大きな打撃となる。
インドが模索する「中国依存」からの脱却
インドは中国との商取引を続けながらも、過度な依存が安全保障上の弱点になることを強く警戒している。インドは現在、自動車部品や電子部品、医薬品原料などの調達先を中国以外に分散させる動きを加速させている。この脱中国に向けた戦略を支える動きの一つが、日本との連携だ。2026年7月2日、日本とインドは今後10年で10兆円規模の投資を動員する目標を掲げた。半導体やクリーンエネルギー分野など、インドが中国依存からの脱却を目指す領域で日本の技術導入が進めば、インドの対中外交における選択肢はさらに広がる。
ロシア国営メディアが示す戦略的パートナーへの不満
中国の戦略的リスクはインドだけにとどまらない。Infoseekニュースが伝えたところによれば、2026年5月、ロシア国営メディア「RT」が、戦略的パートナーである中国に対し「恩恵を享受しながら負担を十分に担っていない」という異例の論評を行った。これまで蜜月を演出してきた中ロ関係だが、ロシア側からも中国への不満が表面化している。インドが中国との距離を広げ、ロシアが中国への依存を懸念する構図は、中国が掲げるユーラシア戦略にとって静かな、しかし無視できない揺らぎをもたらしている。
広がる「中国包囲網」の現実と今後の展望
かつて安倍晋三首相が主導した「自由で開かれたインド太平洋」構想は、米ロ印との関係を維持することで中国を牽制する戦略だった。現在のインドはロシアとの戦略的連携を保ちつつも、中国が求める戦略的協力からは距離を置く姿勢を明確にしている。今後、インドの中間層が成長し、日欧製品との価格差が縮まれば、14億人の巨大市場が中国製品を必要としない局面が訪れる可能性がある。中国の強大な影響力を抑えるための「包囲網」が現実味を帯びる中で、インドとロシアという二大国が今後どのような立ち位置を選択するのか、その動向が国際情勢の鍵を握っている。