カリフォルニア州の28人が登録や投票を巡り起訴された直後、アメリカ司法省は州内の57郡に対し、非市民と疑われる約2万人の郵便投票用紙を48時間以内に隔離・確認するよう要求し、投票がすでに進行中の選挙管理運営に波紋を広げている。
司法省がカリフォルニア州の57郡に突きつけた48時間の期限と投票隔離の要求
ロサンゼルス郡の南側に位置するサンバーナーディノ郡の選挙管理責任者に宛てられた書簡では、連邦検察官補のビル・エサイリ氏が署名し、リストに含まれる1,133人の名前が示された。書簡では、市民権が確認できない場合の対応について次のように求めている。
ビル・エサイリ第一連邦検察官補はNBC Newsが取得した書簡の中で、「48時間以内に、同封のリストの誰が市民で誰が市民でないかを特定するため、司法省および国土安全保障省と協力することを確約するよう求めます。市民権が確認されるまで、リストに載っている人々へ郵便投票用紙の送付を続けたり、彼らが投じた投票用紙を集計したりすることの法的意味を、誤解の余地なく明確にするために私は書いています」と述べた。
さらにエサイリ氏は、市民権が確認されるまで当該の投票用紙を破棄するのではなく「隔離」するよう求めており、「連邦犯罪の容易化または無視に対する法的結果は重大である。連邦選挙における外国人の投票は連邦犯罪であり、そのような行為を故意に容易化することも同様に違法である」と強調している。
オペレーション・プロテクト・ザ・ウートと28人の刑事起訴がもたらした衝撃
こうした一連の動きは、ドナルド・トランプ政権が「オペレーション・プロテクト・ザ・ウート(Operation Protect the Vote)」と名付けた大規模な取り締まりの一環として展開された。司法省は月曜日の記者会見において、カリフォルニア州を含む全米20州で過去7週間にわたり113人の非市民を投票および登録犯罪で起訴したと発表した。

そのうちカリフォルニア州内で起訴されたのは28人で、サンディエゴからサンフランシスコに至る各地のコミュニティに居住する人々が含まれている。トランプ政権側は、これらの人々が非合法に投票登録を行い、一部の者は実際に投票を行ったと主張している。起訴された中には、デイリーシティに住むミャンマー国籍のモエ・ティダ・ルウィン氏(57)、サンフランシスコに住むエクアドル国籍のマリベル・デル・カルメン・ガルセス・バリーガ氏(62)、ペタルマに住むメキシコ国籍のベロニカ・ビジェネ氏(43、別名ベロニカ・ヘルナンデス・マルティネス)らが名を連ねている。
起訴された人々の中には、ロサンゼルス郡コマースに住む72歳のオマー・ムニョス氏が含まれていた。ムニョス氏は早朝に自宅のドアを激しく叩かれ、ヘリコプターが上空を旋回する中で赤色のパジャマ姿のまま手錠をかけられて連行された。本人の回想によると、当時はなぜ拘束されたのか全く分からず、「見せしめにされた」と語っている。南部カリフォルニア地区で起訴された容疑者らは、最高5年の禁錮刑が科される罪に直面している。
また、サンノゼに住む41歳のビジネスマンでジョージア出身のデヴィッド・シャピロ氏は、記者からの連絡で自身が起訴されていることを初めて知り、「どうやったら投票なんてできるのか。自分が起訴されていることも知らなかった」と驚きを隠さなかった。マーキュリー・ニュースの報道によると、同氏は2018年から合法的な米国居住者であり、市民権の申請手続きを進めている最中であった。
司法省のリスト選定手法への疑問と有識者からの指摘
トランプ政権側は、国土安全保障省(DHS)の調査機関である国境警備・移民局の詐欺検知・国家安全保障局(FDNS)などの調査員が、一般に公開されている有権者登録記録と連邦システムの外国人データを突き合わせ、連邦政府および商業用の第三者データも活用して絞り込みを行ったと説明している。しかし、その信頼性やリストの作成手法については激しい議論が巻き起こっている。

デモクラシー・ドケットの記録では、ネバダ州において政府が1万5,903人の非市民がいると主張したものの、その後の調査で全員が適法な市民であることが判明し、該当者数がゼロに修正された事例がある。

UCLAロースクールで「セーフガーディング・デモクラシー・プロジェクト」を率いるリック・ヘイセン教授は、非市民がモータ voter(自動車局を通じた登録制度)などを通じて誤って登録してしまうケースは存在するものの、司法省の動きについて次のように懸念を示している。
リック・ヘイセン教授はNPRの報道で、「懸念すべき点がいくつかあります……1つは、資格のある有権者の選挙権を剥奪するリスクです。2つ目は、(非市民による投票あたりのようなことが)実際にはそうではないのに大きな問題であるかのように見せることで、選挙プロセスに対する有権者の信頼をさらに損なうリスクです。そして3つ目のリスクは、これが選挙終了後に投票用紙を押収したり介入したりしようとする何らかの口実として使われるだろうということです」と述べた。
カリフォルニア州当局の反発と連邦控訴審の審理
カリフォルニア州のシャーリー・ウェーバー州務長官やロサンゼルス郡の選挙管理責任者であるディーン・ローガン氏をはじめとする州当局者は、連邦政府の要求を一貫して拒絶している。州側は、連邦政府が提示したデータは信頼性に欠け不正確であると主張し、要求に応じた場合は適法な市民の権利が不当に剥奪される(選挙権の侵害につながる)と警告している。
さらに、トランプ政権のトント・マコッター代理次官補が、非市民とされたリストの投票用紙を「故意に集計した」選挙管理官に対しては刑事責任を問う可能性があると書簡で警告したことに対し、州側の反発はさらに強まっている。州知事のギャヴィン・ニューソム氏や、アレックス・パディジャ連邦上院議員らは、連邦側が証拠を示さずに威圧的な手段を用いて州の選挙運営に介入しようとしていると非難している。

連邦裁判所における法廷闘争も激化しており、司法省はカリフォルニア州およびロサンゼルス郡に対し、約2万人のリストに含まれる投票用紙を集計対象から除外するよう求める緊急申し立てを行っている。連邦第9巡回区控訴院は、この緊急要請に対するカリフォルニア州側の回答期限を設定しており、デビッド・カーター連邦地裁判事の下での審理も予定されている。投票がすでに全国的かつ州内で広く進行する中、選挙の公正さと州の権限をめぐる対立は最高裁判所まで持ち込まれる可能性が指摘されている。