「彼は、これが自身が主導した中で最も重要な法案であると信じていました。私はそのバトンをゴールまで運べたことを誇りに思います」 ダーリーン・グラハム上院議員(サウスカロライナ州選出)
故リンジー・グラハム議員の遺志と超党派の合意
採決に先立ち、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は連邦議会を訪問し、議員らと面会しました。リチャード・ブルーメンソール上院議員(コネチカット州選出、民主党)は、この歴史的な瞬間について次のように述べています。
「今日、ゼレンスキー大統領はウクライナから、プーチン大統領はモスクワからこの議会を見守っています。リンジー・グラハムもまた、見守ってくれていると信じたい」 リチャード・ブルーメンソール上院議員
制裁の主な内容とエネルギー輸出への打撃
本法案は、ロシアの戦争資金源を断つことを目的としており、具体的には以下の措置を講じます。
- ロシア政府高官、オリガルヒ、その家族、およびロシアの金融機関に対する一次および二次制裁の実施。
- ロシア産原油および天然ガスの主要輸入国上位5カ国に対し、最大100%の関税を課す権限を大統領に付与。
- 制裁逃れに利用されるロシアの「シャドウ・フリート(影の船団)」や関連船舶への制裁。
- 1996年イラン制裁法の5年間の延長。
ダーリーン・グラハム議員は、この立法措置が「プーチンの痛いところを突くものだ」と強調しています。一方、例外規定として、ロシア産天然ガスの輸入比率が15%未満であり、かつ依存度低減に向けた措置を講じている国については制裁対象から除外されます。
関税権限を巡る議論とトランプ政権の関与
今回の法案可決には、ドナルド・トランプ大統領の関与も大きく影響しています。法案にはトランプ氏が求めていたイランへの制裁強化も含まれており、ホワイトハウスはこのパッケージを強く後押ししてきました。しかし、トランプ氏に広範な関税権限を与えることについては、議会内で懸念の声も上がりました。
ランド・ポール上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、「アメリカ国民への増税はプーチンのウクライナ戦争を終わらせない」と主張し、反対票を投じました。また、ロン・ワイデン上院議員(オレゴン州選出、民主党)らは、大統領がどの国に関税を課し、どの国を免除するかを恣意的に決定できるリスクを指摘しました。

「この法案はトランプ氏にあまりに多くの裁量を与えており、最終的にどの国に関税を課すか、どの国を免除するかを彼自身が決定できてしまう」 ロン・ワイデン上院議員
こうした懸念に対し、ラファエル・ワーノック上院議員(ジョージア州選出、民主党)は、トランプ政権側からジェイミソン・グリア通商代表を通じて、関税適用に関する「ガードレール(制限措置)」を設けるとの書面による確約を得たと説明しています。
今後の見通しと平和への期待
上院を通過した法案は、早ければ来月にも下院で審議される予定です。ジーン・シャヒーン上院議員(ニューハンプシャー州選出、外交委員会民主党トップ)は、ロシア国内での選挙を前にこの法案を成立させることが、プーチン氏を平和交渉のテーブルに着かせるための圧力になると指摘しました。
