地球温暖化や森林縮小などを背景に、人里へ出没するクマによる人的被害が米国、ロシア、日本などの各国で深刻化している。環境省によると日本国内では今年8月末までに6人が死亡し60人が負傷しており、政府は駆除制度の見直しや個体数管理の対策に追われている。
米コロラド州での民家侵入と市場での目撃事案
先月、米コロラド州ではアメリカクロクマが民家に侵入する事件が発生した。コロラド州公園・野生生物局によると、未明に窓枠を壊して部屋に入り込んだクマは、中で寝ていた17歳の少女の悲鳴に驚き、少女を引っかいて前脚で腹部をたたいた後に逃走した。さらにInfoseekニュースの報道では、先週同じ地域で開かれた農産物市場のテーブルに別のアメリカクロクマが現れ、パンをつかんで食べてから木の上へ逃げる騒ぎもあったことが伝えられている。
ロシアでのヒグマ被害急増と政府の緊急対策
ロシア政府は30日、ヒグマの個体数を管理するための緊急対策を策定することを決定した。農業・環境分野を担当するドミトリー・パトルシェフ副首相は関係省庁の会議において、個体数の増加に伴い問題も増えていると指摘し、人間と野生動物が安全に共存するための体系的な対策が必要だと強調した。Infoseekニュースによると、今週極東のカムチャツカでは23歳の男性が木の実を採りに出かけてクマに襲われ死亡したほか、シベリアのクラスノヤルスクでは51歳の女性が自宅の庭で命を落とすなど、ロシア全土で今年の春以降少なくとも22人がヒグマの犠牲になっている。
日本国内における相次ぐ出没と制度改正による捕殺
日本国内でも民家に下りてきたクマとの深刻な闘いが続いており、先月29日には北海道美深町で子グマを連れた雌のヒグマが夜道を走る車の前に突進する事態が起きた。また今年6月には栃木県宇都宮市の中心部で雄のツキノワグマが住宅街を歩き回ったため、小中学校約100校が3日間休校し校内行事を延期する事態となった。福島市では工場に逃げ込んだツキノワグマが自分で窓の鍵を開け、水道の蛇口まで開けたまま逃げたことから、市側がその高い知能に対して懸念を示している。日本政府は昨年、死者が統計開始以来最多の13人に達したことを受けて制度を見直し、改正後の規定に基づき昨年4月から今年月までの間に1万4000頭のクマを捕殺した。
専門家が指摘する人間の存在に対する認識の変化
クマと人間の接触が増加した要因について、地球温暖化によって冬が短くなり平均気温が上昇したことが挙げられている。これによって冬眠期間が短縮されたクマが、より多くのエネルギーを求めて民家にやってくるという分析がなされているほか、干ばつや伐採による森林縮小も背景にある。ジャパンタイムズの報道によると、クマ研究の権威である北海道大学獣医学研究院の坪田敏男教授は、クマが次第に人間は怖い存在だという認識を失い、人里に下りてきていると指摘している。さらに毎日新聞は先月29日、秋はクマの動きが活発になる危険な季節であると伝え、各自治体が警戒を呼びかけながら対応策の準備を進めている。
各国の政府や自治体が射殺や個体数管理などの緊急対策に奔走する中、気候変動や森林環境の変化に伴う野生動物の出没傾向は今後も続く見通しであり、人間社会との摩擦をどのように抑え込むのか有効な共存策の確立が急がれている。