ウクライナのセルヒー・コレツキー首相は2026年9月30日、同国のエネルギーインフラに対しロシアが春以降で最大規模の攻撃を実施したと発表した。BBCなどの報道によると、首都キーウを含む国内11州が標的となり、子ども1人を含む少なくとも5人が死亡した。インフラや住宅地が大きな被害を受けている。
ウクライナ首都キーウを襲った春以降最大規模の空爆
BBCの報道では、今回の攻撃はキーウとその周辺地域を主な標的として行われた。キーウ市内のヴィタリー・クリチコ市長は、市内で合計3人が死亡したと発表しており、その中には倉庫で殺害されたウクライナの電力会社の従業員が含まれている。また、キーウ州のティムール・トカチェンコ知事は、夜間の空爆で家屋のがれきの下から子どもが遺体で発見されたことを明らかにした。首都の空は刺激臭のする濃い煙に覆われ、住民には窓を閉めるよう勧告が出された。
学校へのドローン直撃と各地域の被害状況
AP通信の報道によると、キーウのソロミアンスキー地区にある学校にロシア軍のドローンが直撃し、建物の一部が破壊された。防犯カメラの映像には、ドローンがレンガ造りの壁に衝突して大きな穴を開ける様子が捉えられている。学校の校長やソロミアンスキー地区国家行政局長によれば、攻撃当時、防空壕には104人の子どもたちと60人の職員が避難しており、全員が無事でけがはなかったという。一方、BBCの報道ではミコライウ州やスーミ州など他の地域でも死者や施設への被害が確認されている。
電力インフラへの打撃と制限される電力消費
エネルギーインフラへの深刻な打撃により、市民生活には大きな制限が課されている。国営送電事業者ウクレネルゴは、電力供給量が通常より少なくなるとし、現地時間午前10時から午後4時までの間、電力消費が大きい電気製品を使用しないよう住民に勧告した。ウクライナ最大の民間エネルギー企業DTEKはキーウ市民にとって厳しい夜だったと振り返り、8000世帯への電力供給が復旧したと発表したものの、エネルギー省によると一部の世帯では依然として停電が続いている。
ロシア側による軍事施設への主張と戦況の推移
ロシア国防省は、攻撃の目標の一つがキーウから約40キロ離れたトリピルスカ発電所であり、同施設がウクライナの防衛施設に電力を供給していたと主張した。発電所を運営するセントレネルゴは被害の程度を確認している。また、ロシア軍は一晩でウクライナのドローンを380機以上迎撃したと発表した。他方でウクライナ軍は、東部ドネツク州のドローン倉庫などを攻撃したほか、ウクライナ陸軍第3軍団がリマン市近郊の集落を奪還するなどの動きを見せている。
冬に向けたエネルギー網の防衛と今後の見通し
コレツキー首相は通信アプリにおいて、これほど大規模で複合的な攻撃は前回の暖房シーズン終了以来初めてだと強調した。ウクライナは、ロシアが2022年2月の全面侵攻開始以降毎年冬に行ってきたように、電力網への持続的な攻撃を再開することを想定して警戒を続けている。