巨大な風力タービンを海上に建設する洋上風力発電は、日本のカーボンニュートラル達成に重要な役割を果たす可能性がある。
しかし、島嶼国にとっては魅力的であるにもかかわらず、この技術がエネルギー企業にとって利益をもたらすかどうかは、ある重要な要素、つまり風そのものに関する知識に大きく依存している。
「唯一の収入源は風です」と、海上風の複雑な予測に取り組んでいる神戸大学大学院海事科学研究科教授の大澤輝夫氏は言う。「風が吹かなければ、何もできません」
写真は、神戸大学大学院海事科学研究科の大澤輝夫教授が海上風の予測に関する研究について説明しているところ。2024年6月4日撮影。(共同)
大澤さんは、風速などの情報を表示する高精度の地図を作成し、風力タービンの設置に適した場所を見つけるためにインターネットで公開しています。
採算が取れる基準は年間平均風速が毎秒7メートル以上。風速が10%弱まると発電エネルギーが30%近く減少する。
遠く離れた海上で実際の測定を行うことは困難であるため、シミュレーションが不可欠です。
大澤さんは学生時代に豪雨や台風について研究し、2000年に岐阜大学の教員となった。研究室の指導教官から風力発電を紹介された。
写真は、神戸大学大学院海事科学研究科の大澤輝夫教授が、神戸市で洋上風力発電機の模型を手に持っている。2024年6月4日撮影。(共同)
ヨーロッパ留学中、休日にドライブで海岸に出向き、風車が間近に並ぶ光景に圧倒され、日本の風力発電の可能性を確信した。
当時、日本では関心が低かったものの、2011年に大規模な地震と津波による災害で発生した福島第一原子力発電所の事故により、再生可能エネルギー源に対する関心が高まりました。
経済産業省は2015年、海上の風を予測し、水深や漁業権などの情報とともに地図化する全国プロジェクトを立ち上げ、大沢さんは予測モデルの策定で中心的な役割を果たした。
風況マップを作成する上で、風車ブレードがある海抜数十メートル上の風の情報は欠かせません。海外では推定モデルが存在しますが、そのまま日本に当てはめることはできません。陸地に近い地域では山などの影響で風の複雑さが増すからです。
大澤氏はヨーロッパで学んだことをもとに、試行錯誤を繰り返しながら計算値と実際の値との誤差を最小限に抑え、シミュレーションに必要なデータを最適化できる方法を模索した。
最終的には気象庁の気温、気圧、湿度、風のデータと神戸大学が開発した海面水温データを組み合わせ、スーパーコンピューターで半年かけて計算した。
神戸大学が作成し、新エネルギー・産業技術総合開発機構が公開した洋上風力マップ「NeoWins」(画像は同機構のウェブサイトより)(共同通信)
2017年には、日本周辺の海域を風速の強さに応じて黄色や赤、桃色などの色で表示する「NeoWins」という洋上風況マップが完成し、インターネット上で公開されている。
沿岸域は縦横500メートル程度まで予測可能で、年間平均風速は実測値との誤差がわずか5%と高い精度を実現しました。
近年、風力タービンは大型化し、高さは250メートルに達するものもある。そのため、巨大な施設が賢明な投資なのか、修理できるのかさえ疑問視されていると大沢氏は言う。
2023年1月に撮影されたファイル写真は、秋田県能代港の洋上風力発電所の風力タービンを示している。(共同)
しかし、急速な地球温暖化は洪水、干ばつ、食糧不足を引き起こし、「再生可能エネルギーを拡大しなければ、地球は滅びるかもしれない」と大澤氏は言う。
政府の後押しもあり、洋上風力発電の開発が進んでいる。
「風のデータを誰でも自由に利用できるようにしたい」と大沢さん。日本でも風力発電は普及しつつあるが、不確実性の低減や遠隔観測技術の開発など課題は尽きない。
「気象学という出発点から何ができるかを考え続けていきたい」と語った。
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#日本の洋上発電に風力を利用する試み