2026年9月末の中国訪問で岩屋毅前外相が発した「原因を作ったのはこちら」との発言が、中国外務省会見で日本側の責任を強調する材料に使われた。10月12日の会見で毛寧報道官は、岩屋氏の言葉を「関係悪化の原因は日本側にある」と評価し、対話の窓口閉鎖に関する言及は一切なかった。
岩屋氏の発言、中国が責任転嫁に利用
2026年9月末に中国を訪問した岩屋毅前外相は、帰国後にロイターの取材に「原因を作ったのはこちらなのだから…」と語った。この発言は10月12日の中国外務省会見で、毛寧報道官が「関係悪化の責任は全面的に日本側にある」と主張する際の根拠として引用された。中国側は会見で岩屋氏の発言に続けて、日本国内の歴史責任への批判を紹介。毛寧報道官は「彼らが言っている通り」と受ける言葉を含み、日本の政権担当者に台湾や歴史認識の反省を迫った。
対話の窓口閉鎖を指摘せず、中国の主張を強化
中国外務省の会見では、岩屋氏が中国側の対話窓口閉鎖を指摘した内容は一切取り上げられなかった。岩屋氏は9月28日に王毅外相、29日に何立峰副首相と会談し、「異例の厚遇」と報じられたが、王毅氏の返答は「呉江浩駐日大使に任せてある」とにらんだ。高市早苗首相の2025年11月の台湾有事に関する発言が日中関係を冷え込ませた背景を考慮する必要がある。.
高市発言が関係悪化の起点に
2025年11月の高市早苗首相の国会答弁が日中関係の転機となった。台湾有事を巡り「武力行使を伴う場合、存立危機事態になり得る」と発言し、中国が反発。2026年9月の岩屋氏訪中は、このきっかけで冷え込んだ関係の打開を図る試みだった。しかし、岩屋氏が王毅外相に政府間対話の窓口を開くよう求めた際、返答は「大使に任せる」とにらんだ。対話再開の約束は得られず、岩屋氏の発言が中国の主張に逆利用された形となった。
民間交流の限界、政府間対話の先行
岩屋氏は民間経済団体の会長として訪中したが、政府間対話の再開に向けた具体的な進展は見られなかった。毎日新聞は「政府間の対話が途絶え、民間の経済活動にも影響が及んでいる」と指摘。一方で、2025年6月の河野洋平前会長の訪中後に輸出手続きが改善した例もあり、民間交流が政府間関係の緩和に寄与する可能性も指摘されている。

今後の日中関係、対話再開のカギは?
岩屋氏の訪中で、民間交流の前向きな姿勢が強調されたが、政府間対話の窓口は依然として閉ざされたまま。中国は岩屋氏の発言を「日本の責任」として、対話再開を求める姿勢を崩していない。日本側は高市発言の取り扱いについて、政府と民間団体の連携が問われる。両国の関係改善には、政府間対話の再開が不可欠だが、そのタイミングと条件は依然として不明である。