新華社通信は8月28日、中国人民解放軍の指導機関である国家中央軍事委員会の張又侠副主席の解任を決定したと報じ、1月の立件発表から続く異例の事態に10月の5中全会での処分決定が注目されている。.
新華社通信が報じた張又侠副主席の解任
8月28日、新華社通信は人民解放軍の指導機関である国家中央軍事委員会が、張又侠副主席の解任を決定したと報じた。今年1月、中国国防省が張氏を「重大な規律違反、法律違反の疑い」で立件・調査すると発表した際には大きな衝撃が走った。習近平主席と長年歩みを共にしてきた軍の最高実力者の退場は、中国の政治体制に重大な変化が生じていることを示唆している。
習近平主席と張又侠氏の「幼なじみ」という関係性
習近平主席が政治のトップであれば、張又侠氏は軍制服組のトップに位置していた。2人が「幼なじみ」であったという情報も存在するが、少なくとも両者の父親が深い親交を持っていたことは事実である。彼らは「中共エリートの子弟」として共に頭角を現した存在であり、長年にわたり協力関係を築いてきた。それだけに、今回の解任劇はかつての盟友関係が完全に崩壊したことを浮き彫りにした。
独裁体制における異例の身柄拘束
中国における今回のような高官の拘束は、習主席の許可や黙認なしには実行できない。仮に日本で例えるならば、捜査機関が自衛隊の制服組トップである統合幕僚長の身柄を抑え、御用メディアが汚職の可能性を報じるような異常事態である。各国の専門家からは「汚職の真偽は不明だが、首相が逮捕にゴーサインを出した可能性が高い」との指摘が上がっており、権力構造の歪みが露呈している。
沈黙の期間と10月の5中全会への注目
1月の立件発表から8月の解任発表に至るまで、中国政府は長期間にわたり沈黙を守った。この空白期間について、専門家の間では今後の手続きに向けた準備期間だったとの観測が広がっている。10月に開催予定の第20期中央委員会第5回全体会議(5中全会)において、張氏に対する正式な処分が発表されるとの見方が有力だ。
中国軍事問題研究家による分析の視点
中国軍事問題の研究家として知られる田中三郎氏は、月刊誌『軍事研究』で高い評価を受ける論文を発表してきた。同氏のような専門家が分析するように、今回の解任は単なる汚職摘発にとどまらず、軍内部の統制強化や権力闘争の激化を象徴している可能性がある。軍の要人を排除することで、習体制がどのような「終身独裁」の形を完成させようとしているのか、その動向が注視されている。
「汚職が事実かは分からないが、少なくとも首相が統合幕僚長の逮捕にゴーサインを出した可能性が高い」
今後の見通しと権力基盤の行方
10月の5中全会で張氏の処分が確定すれば、習近平体制における軍の掌握は一段と進む可能性がある一方、かつての盟友を切り捨てる手法は党内や軍内に不信感を生むリスクも指摘されており、張又侠氏を失った後の人民解放軍の動向が今後の中国政治の焦点となっている。.