< div class="article-lead">
昨年12月、沖縄県・尖閣諸島沖で「FUCK JAPAN」と名乗る貨物船が船舶自動識別装置(AIS)上に突如出現した。産経ニュースによると、実在しない貨物船の信号は中国人民解放軍の軍港周辺から発信されたとみられ、大規模軍事演習の期間と重なることから、日本の海上保安庁などを攪乱する意図があった可能性がある。
世界ニュース・スポーツ・テック速報
< div class="article-lead"> 昨年12月、沖縄県・尖閣諸島沖で「FUCK JAPAN」と名乗る貨物船が船舶自動識別装置(AIS)上に突如出現した。産経ニュースによると、実在しない貨物船の信号は中国人民解放軍の軍港周辺から発信されたとみられ、大規模軍事演習の期間と重なることから、日本の海上保安庁などを攪乱する意図があった可能性がある。 尖閣諸島沖に出現した「偽装貨物船」の正体 昨年12月19日、尖閣諸島の魚釣島付近の海域で、AIS(船舶自動識別装置)上に「FUCK JAPAN(くたばれ日本)」という名称の貨物船が確認された。AISは船のカーナビに相当し、周辺の船の位置や針路を把握するために利用される装置だ。しかし、第11管区海上保安本部(那覇)の巡視船が現場を確認したところ、該当する貨物船は存在しなかった。産経ニュースは、この事象について、位置情報を偽装する「スプーフィング(なりすまし)」が行われたものと報じている。 中国軍港からの信号発信と大規模演習の関連性 「マリントラフィック」などの解析データによると、この偽の信号は中国東部の浙江省舟山市付近で集中して受信されていた。この地域には、台湾方面を管轄する中国人民解放軍東部戦区の軍港が点在している。偽の信号が確認された時期は、中国軍が台湾を包囲する形で大規模な軍事演習を実施していた期間と重なる。信号は演習開始の10日前から確認され、演習終了直後に途絶えた。このことから、日本の領海警備にあたる海上保安庁の監視業務を攪乱する意図があったとの見方が強まっている。 国際ルールを悪用したAIS信号の偽装 航行の安全を目的として、海上人命安全条約(SOLAS条約)により、海外の港を往来する旅客船などにはAISの設置が義務付けられている。しかし、今回の事例はこの本来の目的から逸脱した運用がなされた。同志社大学の毛利亜樹准教授(国際関係論)は、中国船舶によるAIS信号の偽装が海外でも報告されている現状を指摘する。台湾周辺では、中国軍の空母「遼寧」を装った不審な信号が確認された例もあるという。 「航行の安全という本来の目的に反してAIS信号が利用されている可能性があり、SOLAS条約締結国である中国政府は事実関係を確認し、再発防止に努めるべきだ」(毛利亜樹・同志社大学准教授) サイバーテロの懸念と今後の警戒 今回の事案は、単なる位置情報の誤表示にとどまらず、軍事演習と連動した組織的な攪乱工作である可能性が浮上している。AISの信号を意図的に操作する行為は、航行の安全を脅かすだけでなく、海上保安庁の現場対応を混乱させるサイバーテロの一種とも言える。専門家からは、国際的な海上交通の安全を確保するために、中国政府に対する事実関係の究明と再発防止の要求が必要であるとの声が上がっている。今後、尖閣諸島周辺の安全保障環境において、電子的な妨害工作への警戒がより一層求められることになる。
< div class="article-lead">
昨年12月、沖縄県・尖閣諸島沖で「FUCK JAPAN」と名乗る貨物船が船舶自動識別装置(AIS)上に突如出現した。産経ニュースによると、実在しない貨物船の信号は中国人民解放軍の軍港周辺から発信されたとみられ、大規模軍事演習の期間と重なることから、日本の海上保安庁などを攪乱する意図があった可能性がある。
昨年12月19日、尖閣諸島の魚釣島付近の海域で、AIS(船舶自動識別装置)上に「FUCK JAPAN(くたばれ日本)」という名称の貨物船が確認された。AISは船のカーナビに相当し、周辺の船の位置や針路を把握するために利用される装置だ。しかし、第11管区海上保安本部(那覇)の巡視船が現場を確認したところ、該当する貨物船は存在しなかった。産経ニュースは、この事象について、位置情報を偽装する「スプーフィング(なりすまし)」が行われたものと報じている。
「マリントラフィック」などの解析データによると、この偽の信号は中国東部の浙江省舟山市付近で集中して受信されていた。この地域には、台湾方面を管轄する中国人民解放軍東部戦区の軍港が点在している。偽の信号が確認された時期は、中国軍が台湾を包囲する形で大規模な軍事演習を実施していた期間と重なる。信号は演習開始の10日前から確認され、演習終了直後に途絶えた。このことから、日本の領海警備にあたる海上保安庁の監視業務を攪乱する意図があったとの見方が強まっている。
航行の安全を目的として、海上人命安全条約(SOLAS条約)により、海外の港を往来する旅客船などにはAISの設置が義務付けられている。しかし、今回の事例はこの本来の目的から逸脱した運用がなされた。同志社大学の毛利亜樹准教授(国際関係論)は、中国船舶によるAIS信号の偽装が海外でも報告されている現状を指摘する。台湾周辺では、中国軍の空母「遼寧」を装った不審な信号が確認された例もあるという。
「航行の安全という本来の目的に反してAIS信号が利用されている可能性があり、SOLAS条約締結国である中国政府は事実関係を確認し、再発防止に努めるべきだ」(毛利亜樹・同志社大学准教授)
今回の事案は、単なる位置情報の誤表示にとどまらず、軍事演習と連動した組織的な攪乱工作である可能性が浮上している。AISの信号を意図的に操作する行為は、航行の安全を脅かすだけでなく、海上保安庁の現場対応を混乱させるサイバーテロの一種とも言える。専門家からは、国際的な海上交通の安全を確保するために、中国政府に対する事実関係の究明と再発防止の要求が必要であるとの声が上がっている。今後、尖閣諸島周辺の安全保障環境において、電子的な妨害工作への警戒がより一層求められることになる。