中国が台湾侵攻を想定し、AI搭載ドローンを用いた南西諸島への攻撃能力を強化しているなか、元陸上自衛隊戦車連隊長の木元寛明氏は、新型無人機「九天」などの投入により、撃破手段を持たない日本の南西諸島防衛拠点が壊滅的な損害を受けるリスクを指摘した。.
新型無人機「九天」が持つ空中空母としての能力
中国国営新華社通信は2025年12月11日、新型無人機「九天」の初飛行成功を報じた。全長16.35メートル、翼幅25メートルという大型機で、最大速度は時速700キロに達する。特筆すべきは「空中空母」としての機能だ。約100機の自爆型小型ドローンを目標付近で発進させる能力を持ち、さらに外部の8つの搭載ポイントには1000キログラム級の誘導爆弾や各種ミサイルを装着できる。木元氏は、南西諸島防衛戦において、こうしたAI搭載自律型ドローンの群れ(スウォーム)攻撃が島嶼守備部隊にとって最大の脅威になると分析している。
強襲揚陸艦「四川」と無人機の連携
無人兵器の脅威は空だけにとどまらず、2025年12月に進水した076型強襲揚陸艦「四川」は電磁カタパルトを装備し、無人機の運用を前提とした設計となっている。また、中国はステルス性能を持つ「彩虹7(CH7)」や、攻撃ヘリコプターに匹敵する火力を備え、強襲揚陸艦や空母に数十機搭載可能とされる「CR-500」を開発済みであり、ウクライナ戦線の戦訓を迅速に分析して兵器体系へ反映させるサイクルを構築している。.

南西諸島防衛拠点が直面する法的制約
日本は2016年から与那国島、宮古島、奄美大島へ陸上自衛隊部隊を配備し、2023年3月には石垣島を含めた防衛拠点の整備を完了させた。これらの拠点はレーダー監視や地対艦ミサイルなどを備えるが、木元氏はその脆弱性を指摘する。現行の国内法では、侵攻に備えた防御陣地の構築や障害物の設置が困難な状況にある。ウクライナ戦線では、展開部隊がドローンの好目標となる実態が明らかになっており、防御準備が不十分なままの部隊がAIドローンのスウォーム攻撃に晒された場合、撃破手段を持たない部隊は壊滅的な損害を免れないという。
ドローン戦術を4カ月で吸収する中国の兵器開発
中央日報は、戦略国際問題研究所(CSIS)の分析を引用し、中国がウクライナ戦争の教訓を極めて短期間で自軍に取り入れていると報じた。新しい戦術が登場してから平均4カ月で分析資料をまとめ、軍の要求や調達に反映させる構造を持つ。中国は高価なミサイルに代わる安価な迎撃ドローンの開発や、レーザー兵器、高出力マイクロ波兵器による対ドローン防御にも注力している。個別のドローン性能だけでなく、偵察・指揮統制・火力を一体化させる能力の向上を急いでおり、米国のドローン戦への対応にも影響を与える可能性がある。

次世代戦闘機GCAPを巡る欧州の動向
ドローンによる非対称戦への警戒が高まる中、日本が英国・イタリアと共同開発を進める次世代戦闘機「GCAP」についても新たな動きがある。中央日報によれば、フランスとの共同開発事業から離脱したドイツが、GCAPへの参加を目指して英国と初期協議を開始した。しかし、現時点では英国がドイツに対してオブザーバー地位を付与するなどの具体的な合意には至っていない。既存の産業的役割分担があるため、ドイツの参加には高い障壁があり、英国側はスペインやスウェーデンとの協力を優先する姿勢も見せている。
中国の無人機体系は、今後も強襲揚陸艦やステルス機との連携を深め、より実戦的な運用へと移行するとみられる。防衛拠点の整備を終えた南西諸島において、現行の法規制の下でいかにしてこれらの無人兵器群への対抗策を講じ、展開部隊の生存性を確保するかが今後の焦点となる。