中国外務省は、世界保健機関(WHO)の次期事務局長選に自国の公衆衛生専門家、宋莉氏を擁立すると明らかにし、この発表に対し、新型コロナウイルス禍での中国の対応やWHOとの関係を巡って懸念の声が上がっている。.
中国がWHO事務局長選に宋莉氏を擁立
中国外務省は、世界保健機関(WHO)の次期事務局長選挙に向け、自国の公衆衛生専門家である宋莉氏を候補として擁立することを明らかにした。産経新聞(sankei.com)の報道によると、この決定は新型コロナウイルス禍における中国政府の対応を巡り、国際的な議論を呼んでいる。中国外務省の報道官は、宋氏の選出が「WHOが全人類の健康と福祉の向上に、より積極的な役割を果たすと信じている」と述べた。
新型コロナ禍における中国の対応とWHOの姿勢
新型コロナウイルスは2019年12月に中国・武漢市で初めて確認された。しかし、WHOの調査団が現地入りを認められたのは発生から約1年後のことであり、自由な調査は阻まれた経緯がある。パンデミックの初期段階において、中国共産党政権は情報隠蔽に走ったとの指摘が根強い。また、WHOのテドロス事務局長については、中国におもねる姿勢を取り続け、緊急事態宣言の発出が遅れたとの批判が当時から存在する。
台湾のWHO総会参加を巡る対立
中国は、台湾のWHO総会へのオブザーバー参加を継続的に妨害している。ウイルスには国境や地域の壁が存在しないにもかかわらず、公衆衛生上の空白域を作ることは国際社会への背信行為であるとの批判が上がっている。中国は公衆衛生という人類共通の利益よりも、自国の政治的利益を優先する専制国家であるという見方が強まっている。
過去の国際機関選挙における米国の動向
中国出身候補の当選を阻止した前例として、2020年に行われた世界知的所有権機関(WIPO)の事務局長選がある。当初は中国出身候補が有利と予測されていたが、米国が中心となって選挙対策を進めた結果、シンガポール出身の候補が当選を果たした。しかし、現在の状況は当時と異なる点がある。
来春の事務局長選には、中国の宋莉氏に加え、サウジアラビアやベルギー、カタールが名乗りを上げている。
日本政府に求められる外交的対応
次期事務局長選は、世界の人々の命と健康を左右する重要な選挙となる。かつてWIPOの選挙で主導的な役割を果たした米国は現在、WHOを脱退しており不在の状態だ。そのため、日本政府には欧州諸国などと緊密に連携し、職責にふさわしい人物の当選を実現させるための外交努力が求められている。
来春の選挙に向けて、各国による候補者擁立や調整が本格化する見通しだ。中国による候補者擁立が、今後の国際保健外交の勢力図にどのような影響を与えるのか、各国の動向が注目されている。