中国の援助で建設されたタンザニア・ザンビア鉄道(TAZARA)が、民間ビジネスとして再生を図る。2025年9月、両国政府は中国土木工程集団(CCECC)に30年間の貨物事業運営権を付与した。約2210億円を投じる再建計画により、老朽化した「自由の鉄道」は物流の要衝へと転換を急ぐ。
半世紀を経て中国企業が運営権を獲得
1970年代に中国の資金援助で建設されたタンザニア・ザンビア鉄道(TAZARA)は、長年、老朽化と資金不足に苦しんできた。PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)によると、タンザニアとザンビアの両政府は2025年9月、鉄道の運営権を中国の国有企業である中国土木工程集団(CCECC)に30年間委ねることを決定した。CCECCは14億ドル(約2210億円)を投資し、路線の改修および運営を担う。この投資は運営収入によって回収される計画だ。2026年7月17日には、タンザニア、中国、ザンビアの政府高官や外交官が集まり、再生プロジェクトの起工式が執り行われた。
「定刻2時間遅れ」が日常の過酷な現状
かつての友好の象徴は、現在、深刻なインフラの劣化に直面している。アルジャジーラの報道によれば、2025年2月下旬の金曜日、タンザニアのダルエスサラーム駅では、天井板が剥がれ落ち、鳩が飛び交う構内で数百人の乗客が列車を待っていた。15時50分発の「ムクバ急行」は2時間の遅延が告知されたが、乗客に驚く様子はなかった。この鉄道において2時間の遅れは「ほぼ定刻」と受け止められるのが日常である。全長1860キロに及ぶ路線は新幹線の新青森―鹿児島中央間に匹敵するが、定刻でも移動に約40時間を要する過酷な旅路となっている。
世界が断った「自由の鉄道」のルーツ
この鉄道建設の背景には、60年余り前の地政学的な危機がある。1965年、ザンビアの隣国ローデシア(現ジンバブエ)で白人少数政権が独立を宣言した。内陸国であるザンビアにとって、最大の収入源である銅の輸出ルートは、敵対する隣国や南アフリカを経由せざるを得ない状況に追い込まれた。ザンビアのケネス・カウンダ大統領とタンザニアのジュリアス・ニエレレ大統領は、海へ抜ける「自由の鉄道」を構想した。しかし、世界銀行やソ連を含む西側諸国が資金提供を拒絶したため、両国は毛沢東体制下の中国に支援を求めた。
「全天候型の友好」が問うビジネスの成否
オーストラリア発の学術系非営利メディア、カンバセーションの分析によれば、この建設事業は当時の中国にとって最大の対外援助プロジェクトであった。現在もこの鉄道は、中国とアフリカ諸国との「全天候型の友好」を象徴する存在とされている。しかし、かつての無償援助から民間企業のビジネスへと形態が変わる中で、採算性の確保が今後の焦点となる。運営権を委ねた両国政府と、巨額の投資に踏み切った中国側にとって、この路線が物流の動脈として再び機能するかどうかが、次の30年間の関係性を左右することになる。
- 路線総延長:1860キロ
- 運営権委託期間:30年間
- 再建投資額:14億ドル(約2210億円)
- 運営主体:CCECC(中国土木工程集団)
再建計画の本格始動により、老朽化したインフラの改修が急ピッチで進められる見通しだ。貨物輸送の効率化が実現すれば、ザンビアの銅輸出を支える重要な物流網として再生する可能性がある。一方で、長年積み重なった設備の劣化をいかに克服し、安定した収益モデルを確立できるのか、2026年7月の起工式以降の進捗が注目される。