ロシア製の人工衛星「コスモス2612」が異例の動きを見せ、ウクライナ支援に利用される多国籍企業ICEYEの商用の地球観測衛星「ICEYE-X36」に1.6キロ足らずの距離まで接近したことが分かった。cnn.co.jpが報じた。宇宙空間でのランデブー・近接運用と一致する動きだが、具体的な意図は明らかになっていない。
ロシアの衛星コスモス2612が観測衛星に接近
ロシアの衛星であるコスモス2612が、商用の地球観測衛星に極めて近い距離まで接近していたことが判明した。接近された衛星はICEYE-X36であり、米国やフィンランド、欧州、アジアの複数の国に拠点を置く多国籍企業ICEYEが運用している。この観測衛星は、ウクライナなどの国々に国家安全保障関連のサービスを提供するために利用されている可能性がある。cnn.co.jpが伝えた。
宇宙ごみや地球周回軌道上の活動を追跡する軌道監視サービス企業レオラボスは声明で、今回の動きは軌道上で2機の宇宙機を接近させるランデブー・近接運用と呼ばれる操作と一致すると指摘した。一方で、宇宙空間では2機の宇宙機のランデブーやドッキングは日常的に行われているのも事実である。しかし、天体物理学者で宇宙アナリストのジョナサン・マクダウェル氏はSNSで、コスモス2612の行動は宇宙機が許可なく別機に接近した初めての事例となる可能性があると指摘している。
5月からの兆候と10月の急接近の経緯
英王立防衛安全保障研究所が6月に公表した報告書によると、ロシア軍の宇宙機がICEYE衛星への接近を図っていた兆候は5月から現れていた。当時、ロシアの衛星4基はICEYE-X36に合わせるように軌道を調整していたという。その後、コスモス2612は10月15日にICEYE-X36に急接近し、16日未明までに両機の距離は350キロから5キロ未満にまで縮まった。
レオラボスが19日に明らかにしたところによると、その後コスモス2612は距離を保つような動きを見せ、週末を通じてわずかに調整しながら近い相対位置を維持していた。同社の分析では、今回の事象において一時約500メートル以内まで接近したとみられている。
19日までに離脱を開始したロシアの衛星
19日までにコスモス2612はICEYE-X36から離れ始めた。ロシアの衛星が示した軌道操作能力は、別の宇宙機を検査、特性把握、追尾するほか、場合によっては妨害するために利用される可能性があると指摘されている。
レオラボスは、今回の事象や示された能力は敵対的な意図を立証するものではないとする一方で、情報収集、軌道上での検査、威圧的なシグナルの発信、妨害、あるいは将来の対宇宙作戦に向けた準備を支えうる能力を示していると述べた。合成開口レーダー技術を使用するICEYEの衛星群は、ウクライナ軍が戦術的な時間軸で継続的に状況を認識できるよう支援してきたが、ICEYE-X36が具体的にウクライナ軍の作戦支援に使われていたかどうかはすぐには明らかになっておらず、今後の動向に継続的な監視が必要とされている。