ミネソタ州の連邦給付金詐欺事件に関与したサリム・サイド被告に対し、連邦地裁は2026年10月29日、禁錮30年の判決を言い渡しました。新型コロナウイルス禍に乗じた巨額の不正受給をめぐり、ドナルド・トランプ大統領による批判や政治的圧力が強まる中での司法判断となりました。
ミネソタ州の連邦給付金詐欺で禁錮30年
ミネソタ州ミネアポリスでサファリ・レストランを営んでいたサリム・サイド被告は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大規模感染)に乗じて連邦政府の食料支援プログラムを悪用し、大規模な詐欺を主導したとして起訴されました。検察側の裁判資料によると、同被告は貧困家庭の子供たちに食事を提供する名目で、実際には存在しない架空の子供たちの分まで水増し請求を繰り返していました。
連邦地裁のナンシー・ブラゼル判事は、同年10月29日の言い渡し公判で同被告に対し、「あなたは私腹を肥やすために税金を持ち去っただけではない。我が州の評判をも共に失墜させたのだ」と厳しく言い放ち、Aljazeeraの報道によれば、厳しい言葉を投げかけました。
検察側は法廷で同被告の手口について、「被告とそのサイトは数千人の子供たちに食事を提供したのではなく、計算された、大金を生む嘘を提供したのだ」と厳しく糾弾したと、Aljazeeraが伝えています。
さらに検察は、21カ月にわたって虚偽の請求が続けられたことを指摘しています。不正に得た資金の使途について政府側は、サイド被告が120万ドルの住宅や商業用不動産、さらには8万7000ドルのピックアップトラックの購入にあてて私腹を肥やしたと指摘しました。
パンデミック下での制度変更と巨額被害の背景
この事件の背景には、パンデミックに伴う連邦制度の特例措置がありました。通常は学校を通じて子供たちに食事を配給していた連邦プログラムに対し、感染拡大の状況下ではレストランの参加が認められ、配給場所も学校外へと大きく拡大されました。
州の監査機関によるその後の調査では、ミネソタ州教育局に対して非営利団体「フィーディング・アワー・フューチャー」に関する多数の苦情が寄せられていたにもかかわらず、同局は団体側に自主的な改善を促すのみで十分な監督を行っていなかったことが判明しています。
同非営利団体のリーダーであるエイミー・ボックも2025年に有罪評決を受けており、こちらは首謀者として42年の禁錮刑と2億4200万ドルの賠償命令が下されています。サイド被告は2025年の裁判における証言で容疑を否認し、多くの食事は敷地外で配達されたと主張していましたが、今回の判決公判では態度を翻して反省の意を表明しました。
一方、弁護人を務めたバリー・ゾーンは、サイド被告が事件の「主謀者」であるとする政府側の主張には異議を唱え、12年の禁錮刑を求めていました。
政治的圧力と州知事の去就への影響
ミネソタ州全体で数十人の有罪者を出したこの広範な給付金詐欺事件は、地元行政の責任問題へと発展しました。ドナルド・トランプ大統領は、民主党所属のティム・ウォルツ州知事が不正の拡大を防げなかったとして繰り返し非難し、州内の大都市における移民対策の引き締めを正当化する材料としてこの事件を取り上げています。
事件をめぐる激しい批判と政治的プレッシャーが続く中、ウォルツ知事は今年1月に次期知事選への不出馬を表明しました。連邦補助金の管理体制や州当局の監督責任をめぐる議論は、司法による個別の刑事責任追及が一段落した後も、なお大きな波紋を広げ続けています。