ミシシッピ州司法長官室は2026年10月19日、セナトビアで万引き容疑の取り締まり中に警察官が発砲し、生後1歳のコーヘン・ワイリーちゃんが死亡した事件について、警官の武力行使は正当であったと発表した。
セナトビア警察官の発砲と司法長官室の判断
ミシシッピ州司法長官リン・フィッチの事務所は、6月14日に同州セナトビアのウォルマート駐車場で発生した銃撃事件に対する調査を完了したと発表した。州捜査局による調査結果を受け、司法長官室は関与したセナトビア警察署の警察官による武力行使が正当であったと結論づけた。
事件当時、警察官らはオムツなどの万引き通報を受けて現場に駆けつけた。母親のヴェレシヤ・ワイリーと知人のラトヤ・フェレルが子どもを連れて店舗から車に乗り込み、駐車場を離れようとした際に警察官らが接近した。捜査当局は、車両が警察官の方向へ向かって走行し、もう少しで轢かれそうになったと主張している。
当該の警察官について、代理人弁護士のマーティン・ズマックは「発砲するしかなかった」と述べた。

遺族側弁護士と専門家による反論と証拠の非公開
遺族を代理する人権派弁護士のベン・クランプは、司法長官室の結論に対して強い不満を表明した。当局が主張する正当性を裏付けるはずのボディカメラの映像などが依然として一般に公開されていない点を厳しく批判している。
ベン・クランプは次のように述べている。「コーヘンちゃんの遺族や一般市民がいまだにボディカメラの映像を見ることを許されていないのに、どうして誰もがその結論を受け入れることができるでしょうか」

クランプが公開した独立した検視結果によれば、銃弾は車両の側面から撃ち込まれていた可能性があり、車が警察官に向かって直接突進していたとする警察側の説明と矛盾しているという。元ボルチモア警察警部補で弾道学専門家のチャールズ・「ジョー」・キイも、車両の破損状況から見て発砲時の警察官が差し迫った危険にさらされていたとは言えないとの見解を示している。
相次ぐ不祥事と揺らぐ警察組織への信頼
今回の銃撃事件は、セナトビア警察と地元の黒人住民との間に存在していた緊張関係をさらに悪化させた。事件の背景には、同市警察をめぐる数々の問題が横たわっている。
9月には、当時の警察署長ハロルド・ヴァンダーフォードが人種差別的な暴言を私的なテキストメッセージで繰り返していたことが報じられ、市議会によって満場一致で解任された。また、事件の数日前には、発砲に関与した警察官が別の同僚に対して人種差別的な発言をしたという内部苦情が申し立てられていたことも判明している。
ビルディング・ブリッジズ・コアリションの代表であるマルケル・ブリッジズをはじめとする地域の活動家らは、真相究明と映像の即時公開を求めて抗議活動を続けており、事件の全容解明に向けた圧力は収まっていない。