トランプ米大統領が2024年の再選時に掲げた「戦争を始めない」という公言に反し、イスラエルとともにイラン攻撃を開始した。長期化する戦闘は米兵の犠牲やガソリン価格の高騰を招き、11月3日の中間選挙に向けた有権者の投票行動に大きな影響を与えている。 asahi.com と Forbes JAPAN が報じた。
イラン攻撃で命を落とした米兵の遺族が抱える苦悩
米南部ジョージア州コロンバスの国立歩兵博物館では9月12日、イラン攻撃の遺族を招いた式典が開催された。トランプ政権が2月28日にイスラエルとともに始めたイランとの戦闘では、これまでに米兵計21人が死亡し、同館の記念碑に名前が刻まれた。サウジアラビアの空軍基地でイランの攻撃を受けて負傷し、3月8日に死亡したベンジャミン・ペニングトンさん(当時26)の母キャリーさんは、最後の電話となった短い会話を振り返り、「背負ったものが重たくなるように、悲しみはどんどん強くなっている」と asahi.com に対して涙ながらに語った。
イラク西部での墜落事故と残された両親の願い
3月12日にイラク西部で起きた空中給油機KC135の墜落事故では、西部ワシントン州のアリアナ・サビノさん(当時31)が死亡した。旅客機パイロットの父にあこがれて空軍のパイロットとなったサビノさんの両親は、米国民が戦争や平和を議論する際には、自ら任務に就く人々に目が向けられ続けることを強く願っていると asahi.com は伝えている。トランプ氏は過去の長期介入を批判して再選を果たしたものの、イラン攻撃の長期化により、支持基盤である「MAGA」の一部離反を招いている。
ピュー・リサーチ・センターの世論調査が示す不支持の拡大
米調査機関ピュー・リサーチ・センターが10月8日に公表した世論調査では、イラン攻撃への支持は33%にとどまり、不支持は65%に達した。新アメリカ安全保障センター(CNAS)のキャサリン・クズミンスキ研究担当副所長は、不満の多くが戦争の結果生じたガソリンや食料品の価格高騰に起因すると asahi.com に指摘している。ホルムズ海峡の不安定化に伴い、国内のガソリン価格は攻撃前の最大約1.5倍にまで高騰した。
ムーディーズ・アナリティクスが算出する1世帯当たりの経済負担
米財務分析企業ムーディーズ・アナリティクスの分析によると、イランとの紛争により、米国民は1世帯当たり平均2000ドル(約32万円)の経済的負担を強いられていると Forbes JAPAN が報じた。主な要因はガソリン価格の高騰と、トラック輸送される商品の価格上昇にある。問題が深刻化する前の6月の時点で、米ニュースサイト「ポリティコ」の調査に対し、有権者の46%が中間選挙でガソリン価格の動向が投票判断に影響すると回答していた。
放置される開戦手続きと議会権限を巡る対立の行方
米国がイランへの攻撃に踏み切った際、議会での諮問や紛争の是非に関する国民との議論は一切行われなかった。Forbes JAPAN によれば、戦争権限法に基づき米軍の撤退を求める決議案が上院に提出されたものの、わずか1票差で否決された。国防総省が提示した1兆5000億ドル(約236兆円)という巨額の来年度予算要求も含め、支出の規律や開戦権限を巡る議論は、来年1月に召集される新議会での喫緊の課題となっている。