トランプ米大統領は9日、今年のノーベル平和賞にナビ・ピレイ氏が選出されたことについて、自身が選ばれなかったのは「消えることのない汚点だ」とノーベル委員会を非難した。これに合わせ、米政府は国際刑事裁判所(ICC)に対する制裁を表明し、同盟国に協力を求めている。.
トランプ氏がノーベル委員会を非難し「8つの戦争を終結させた」と主張
トランプ米大統領は9日、ニューヨーク州シラキュースでの中間選挙応援集会において、今年のノーベル平和賞の選考結果を批判した。Yahoo!ニュースによると、トランプ氏は受賞者のナビ・ピレイ氏について「聞いたこともない人物」と述べ、委員会による決定を「恥ずべきもの」と断じた。トランプ氏は、自身がインドとパキスタン、イスラエルとハマス、エジプトとエチオピアなどの紛争解決に関与したと強調し、「私は8つの戦争を終結させた。このうち一つでも解決していれば受賞できたはずだ」と主張。自身が平和賞に値すると繰り返し訴えた。
ICCへの制裁強化を表明し同盟国に協力を要請
トランプ政権は同日、国際刑事裁判所(ICC)に対する強力な制裁措置を発表した。ルビオ米国務長官はビデオメッセージを通じて、ICCを「無法な裁判所」と呼び、解体へ向けたキャンペーンを継続する意向を明らかにした。また、米軍の防衛に依存する同盟国に対し、制裁への協力を強く求めている。この動きは、ノーベル平和賞の受賞者がかつてICC判事を務めていたことと連動しており、米政府として国際的な司法機関への圧力を一段と強める姿勢を鮮明にした。

日本政府はICCへの支援継続の方針を維持
ICCをめぐる国際的な対立が深まる中、日本政府は独自の立場を表明した。日刊スポーツによると、高市早苗首相は自身のX(旧ツイッター)を更新し、トランプ政権によるICC制裁について「日本の立場と相いれるものではなく、深く懸念している」と記した。日本政府は、今後もトランプ政権への働きかけを続けるとともに、ICCへの支援を継続する方針を示している。主要国がICCへの圧力を強める中、日本は国際法の秩序維持を重視する姿勢を明確にした形だ。
専門家が語るノーベル平和賞の意義と国際情勢
今年のノーベル平和賞受賞者であるナビ・ピレイ氏は、国連人権高等弁務官を歴任した人権法の専門家だ。テレビ朝日系「報道ステーション」の大越健介キャスターは、9日の放送でこの受賞について言及した。大越氏は、ICCがウクライナでの戦争犯罪に関連してプーチン大統領に逮捕状を出すなど、一部の主要国から強い圧力を受けている現状に触れた。その上で、「赤根智子所長が率いるICCや、岩沢雄司所長が率いる国際司法裁判所(ICJ)にとっても、今回の受賞は背中を押してくれるものになるだろう」と指摘した。
- 受賞者:ナビ・ピレイ氏(元ICC判事、元国連人権高等弁務官)
- トランプ大統領の主張:紛争解決の功績によりノーベル平和賞を受賞すべきだった
- 米政府の対応:ICCへの制裁を発表し、同盟国に協力を要請
- 日本政府の対応:高市首相が制裁に懸念を表明し、ICCへの支援継続を表明
国際司法の行方と今後の外交的摩擦
ノーベル委員会による決定と、それに対する米政権の反発は、国際法のあり方をめぐる分断を浮き彫りにした。トランプ氏は「少数の急進的なイデオロギーを持つ者たちによって、平和賞は信頼を失った」とまで述べ、今後の賞の権威に対しても不信感をあらわにしている。一方で、日本や他の同盟国が国際裁判所への支持を継続する中で、米国の対ICC政策が同盟関係にどのような影響を及ぼすのか、国際社会の関心は当面、司法の独立性と政治的圧力の均衡に集まる見通しだ。