米国のドナルド・トランプ大統領がロシア産ディーゼル燃料の輸入再開を発表したことをめぐり、欧州や米国の与党内から激しい反発が起きている。.
ロシア産ディーゼル合意と米国内の政治的亀裂
ドナルド・トランプ大統領がロシアとの間で発表したディーゼル燃料の輸入合意は、共和党の足並みを乱している。政権側は、価格高騰に苦しむ米国の農家やトラック運転手を救済するためだと主張している。しかし、議会や州知事からは、ロシアの経済的生命線を断つべき時期に逆行する決定だとして強い懸念の声が上がっている。
オクラホマ州のケビン・スティット知事は、ウクライナとの戦争を長引かせるリスクがあると警告した。また、共和党のブライアン・フィッツパトリック下院議員は、ロシアからの石油購入を阻止するための法案を推進する構えを見せている。
ホワイトハウスのテイラー・ロジャース報道官は、トランプ大統領が世界市場にディーゼルを供給するための優れた取引を成功裏に交渉したと主張している。一方、ノースカロライナ州選出のトム・ティリス上院議員は、ロシアとの石油取引は米国民の命を危険にさらす恐れがあると批判を強めている。アイオワ州の候補者であるアシュリー・ヒンソンも、ロシアと取引しなくても燃料価格を下げる他の手段があるとして同協定に異議を唱えている。
エネルギー市場と価格への影響をめぐる専門家の見方
トランプ大統領はロシアからの供給が燃料価格を劇的に下げる効果があると期待しているが、エネルギー市場の専門家やアナリストはその効果に懐疑的である。米国の全米自動車協会(AAA)によると、全米のディーゼル平均価格は9月22日に1ガロンあたり6.53ドルの過去最高値を記録し、直近でも6.27ドル(カリフォルニア州では8.38ドル)に達している。

ケルン大学のトーマス・イェーガーはDWに対し、「取引量が少なすぎて、価格にはまったく影響を与えません」と述べた。
今後の見通しと残された不確実性
ロシアが約束通りの量を実際に輸出できるかについては、ウクライナ軍によるロシアの製油所攻撃でインフラが損害を受けていることから不透明な状況が続いている。ロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相は、年末までに危機前の水準となる月間350万トンの供給規模に回復できると主張しているが、セルゲイ・ヴァクレンコによると、ロシアのディーゼル輸出量は今春の月間約300万トンから9月には約32.5万トンまで激減している。

米政権はディーゼル取引をより広範な外交戦略の一部として位置づけようとしているが、議会の与野党からは既存の対ロ制裁法に違反するという指摘が相次いでいる。中間選挙を控える中、政権のエネルギー政策は国内外で激しい議論の的となっている。