ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのミサイル攻撃に対する防衛に必要な米国の重要情報の提供が、一時的な停止を経て再開されたと明らかにした。ロイター通信などが18日に報じた。ウクライナはロシアの弾道ミサイル探知を米国の情報に依存しており、一時的な情報遮断が軍事作戦に影響を与えていた。
米国の情報提供停止と再開の経緯
ウクライナのゼレンスキー大統領は、米NBCの番組「ミート・ザ・プレス」でのインタビューで、ロシアの攻撃に関する情報共有が中断されたものの、現在は「停止が解除された」と説明した。ロイターが報じた発言内容によると、ゼレンスキー氏は「このことには大変感謝している。今は機能している」と述べている。ウクライナ側はこれまで、ロシアが国内各地へ発射する高速の弾道ミサイルを探知するために米国の提供する情報に依存してきた。一部のウクライナ当局者は、事前の警告なしにロシアの攻撃を受けたケースがあったと指摘しており、今回の一時停止が現場の防衛に影を落としていたことが浮き彫りとなった。
産経ニュースが報じる「警告なし」の攻撃
産経ニュースの報道によると、ゼレンスキー氏は13日、12日夜に首都キーウに対して行われたロシアの弾道ミサイル攻撃について「パートナー国(米国)から警告がなかった」と表明していた。また、13日夜の攻撃に関しても米国からの通知はなかったと、ウクライナ空軍が明らかにしている。ウクライナ側は、こうした情報提供の停止や、米スペースX社の衛星通信システム「スターシールド」の機能制限を、ロシア寄りの姿勢を強めるトランプ米政権による圧力だとみなしている。これに対し、米国側はこれらの見方や報道を否定する立場をとっている。
米財務長官による支援の強調
ゼレンスキー氏のインタビュー放送後に「ミート・ザ・プレス」に出演したベセント米財務長官は、米国がウクライナを同盟国と見なしているかという問いに対し、直接の回答を避けた。ロイターによると、ベセント氏はその代わりとして、米国がウクライナに対してロシアが受けていないレベルの支援を行っていると主張した。具体的な支援内容として、情報共有の継続や、ウクライナへの再販売を目的とした他国への米国製弾薬の供給を挙げている。トランプ米大統領は以前、情報共有を続けていると述べていたが、現場との認識に乖離が生じている現状が示された。
スターシールドの機能制限と軍事運用への支障
産経ニュースは、ウクライナ軍がドローン制御に活用する「スターシールド」の機能制限についても報じている。この制限により、ウクライナ軍のドローンの飛行速度が低下し、運用に支障が生じた。ロイターは15日、この機能制限は米ホワイトハウスの決定によるものだと伝えている。制限はその後解除されたとの報道もあったが、ゼレンスキー氏は17日、依然として制限が続いているとの認識を示した。ドローンを用いた偵察や攻撃を行う特殊任務大隊の隊員らにとって、通信インフラの安定性は戦術上の死活問題となっている。
トランプ氏の主張と和平への動き
トランプ米大統領は18日午後、SNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、自身の意思決定は「愚かにもロシアを交渉のテーブルから遠ざける」ような事態を避けるためのものだと釈明した。ゼレンスキー氏は、米国が正式にロシア側につき、両国が手を組めばウクライナは勝利できず持ちこたえることもできなくなると危機感を露わにしている。一方でゼレンスキー氏は、トランプ氏が派遣したウィットコフ和平交渉担当特使や、同氏の娘婿であるクシュナー氏と18日にリモート会談を行ったと発表した。今後は、悪化した米ウクライナ関係の修復に向けた協議が焦点となる見通しだ。
今後の展望と懸念
米国の情報提供が再開されたことで、直近の防衛体制には一定の改善が見込まれる。しかし、スターシールドの機能制限が継続しているとの指摘もあり、ウクライナ軍の装備運用環境は依然として不安定な状況にある。ゼレンスキー氏は「われわれは彼(トランプ氏)を信頼したいし、決定を変えてくれることを望んでいる」と語り、米国による支援の継続を強く求めた。対露和平交渉の進展や米政権内の対ウクライナ政策の舵取りが、今後の戦局を大きく左右することになる。
