2024年10月に米コーネル大学で発生したとされる集団性的暴行事件に対し、全米規模の抗議運動が拡大している。被害を訴える女性への連帯を示す「I am Jane Doe」の動きは、大学の捜査対応や処分への不信感を背景に、著名人や他大学をも巻き込む事態となった。
1000人超が集結したコーネル大学での抗議
ニューヨーク州イサカにある名門コーネル大学で10月5日、学生や教職員ら1000人以上がキャンパスに集まり、大学側の対応に対する抗議デモを行った。TBS NEWS DIG Powered by JNN(Yahoo!ニュース)によると、参加者らは大学による事件の検証、関係した男子学生への厳格な処分、そしてコトリコフ学長の辞任を求めている。学生たちの胸には、「ジェーン・ドウ」というシールが貼られた。これは米国の裁判で身元を保護するために使われる仮名であり、今回被害を訴えている女性もこの名で呼称されている。参加した学生の一人は、「性被害は誰にでも起こり得る。私が被害者だったかもしれない」と語り、被害者への連帯を強調した。
2年越しの訴訟で明らかになった事件の経緯
事件が発生したのは2024年10月19日から20日にかけてのことだ。当時コーネル大学の学生だった女性が、男子学生の社交団体「フラタニティ」の施設を訪問した際、酒や薬物を強要され、同意できない状態で7人の男子学生から性的暴行を受けたという。dメニューニュースは、女性が大学の学内調査に対して「自分が餌のように感じた」と証言していたことを報じた。訴状によれば、男子学生らはメッセージアプリで女性についてやり取りし、他の学生を呼び込むような内容を送っていたとされる。これに対し、関与を疑われた男子学生側は、性的行為は合意に基づくものだったと主張し、関与を否定している。

大学警察の対応に募る批判と捜査の再開
事件をめぐっては、大学警察の対応に対する疑念も噴出している。TBS NEWS DIG Powered by JNNによれば、女性は大学警察の聞き取りに対し「100%の確信で、レイプされた」と証言していた。しかし、検察側に提出された供述書にはこの証言が含まれていなかったことが現地メディアにより報じられた。この判断に対し、大学を守るために事件を小さく扱おうとしたのではないかとの批判が強まった。事態を重く見たキャシー・ホークル知事は、大学警察の対応に「深く憤りを感じている」と表明。地方検察による捜査の再開が決定し、州の司法長官が特別検察官として捜査を引き継ぐこととなった。
フラタニティ文化と全米に広がる「#IAmJaneDoe」
今回の事件は、大学キャンパスにおける「フラタニティ」のあり方にも議論を投げかけている。クーリエ・ジャポンによると、ある父親は自身のSNSで、男子学生らが交わしていた女性を蔑視するようなメッセージ内容に衝撃を受けたと発信した。同様の抗議はコーネル大学に留まらず、コロンビア大学やカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)など全米各地に波及している。著名人のオリヴィア・ロドリゴさんやフローレンス・ピューさんも連帯を表明した。TBS NEWS DIG Powered by JNNの学内調査では、2025年時点で学部の女子学生の35%が、強制や判断能力の喪失を伴う同意のない性的接触を経験したと回答している。
大学側が示した対応策と残された問い
批判の高まりを受け、コトリコフ学長は女子学生に対し謝罪し、複数の再発防止策を発表した。具体的には、元司法副長官が率いる法律事務所への独立調査委託、男子社交クラブの行事禁止、そして大学警察を介さない州警察による直接捜査の導入などが挙げられる。しかし、訴状では一部の男子学生に対して反省文の提出を条件に処分を軽減する機会が与えられていたと指摘されており、学生らからは依然として「処分が不十分である」との声が上がっている。大学側がこの組織的な不信感をいかに払拭し、被害を訴えた学生の安全と納得を確保できるのか、その対応が問われ続けている。