ウクライナ軍は9月、大型ドローンに戦闘ロボットを吊り下げてロシア軍陣地の背後に投下する初のロボット・ヘリボーン作戦を実施した。Forbes JAPANが報じたもので、遠隔操縦ロボットによる攻撃が今後の一般的な戦術になる公算が大きいという。
第93独立機械化旅団が執行した初のロボット投下作戦
ウクライナ軍第93独立機械化旅団無人地上システム大隊「オルター・エゴ」が、史上初となる無人地上車両(UGV)の空中投下作戦を成功させた。同大隊の指揮官でコールサイン“エレクトリック”がForbes JAPANの取材に対して明らかにした。作戦では大型ドローンを用いて戦闘ロボットを運搬し、敵陣の背後に正確に投下したという。ウクライナ軍は戦局の変化に対応するため、こうした無人システムの連携運用を急ピッチで進めている。
急増する無人車両の配備と「デサントニク」の開発背景
ウクライナ軍は今年、各種UGVを5万台以上調達しており、人間の代わりに最前線での物資輸送や負傷者搬送、自爆攻撃を担わせている。第3独立強襲旅団は、2026年末までに前線部隊の約30%をUGVに置き換える計画を進めている。従来のUGVは通常20kg程度を運ぶ大型マルチコプターには重すぎたため、オルター・エゴの隊員らは独自のUGV「デサントニク(空挺兵)」と投下機構をわずか10日間で開発した。この設計にあたっては、ウクライナ政府の防衛テックアクセラレーター「Brave1」の支援を受けている。
The 3rd Army Corps continues to reveal details of its Vivaldi offensive operation and reports that, for the first time in history, it carried out a flanking maneuver by deploying unmanned ground vehicles behind enemy lines while simultaneously disrupting Russian drone operations.… pic.twitter.com/nMqAzwpLec
前線の負傷兵を大型無人機で救出する新たな試み
読売新聞などの報道によると、ウクライナ陸軍は10月19日、ロシア軍との戦闘が続く前線地帯から負傷した兵士1人を無人機でつり上げて救出したと発表した。現場周辺には多数の地雷が埋められており、陸路での接近が困難だったため、最大積載量130kgの大型無人機を改良して約6か月かけて準備を進めていたという。安全装置の使い方を収めた携帯電話を無人機で兵士に届け、自ら体を固定させてから浮上させる手順をとっており、飛行中の攻撃を防ぐおとり機も複数投入された。
The US has worked on the "marsupial" robotics concept — systems where one robotic asset delivers another — for over three decades. Ukrainian frontline engineers designed, built, and combat-deployed one in 10 days.Operators of the "Alter Ego" unit (93rd Brigade) engineered the… pic.twitter.com/NOWSVAJVxq
戦時下の無人技術を民生分野や日本へアピールする動き
読売テレビの報道では、ウクライナ政府と先端企業20社以上が神戸学院大学に集結し、戦時下で磨いた技術を災害救助などの民生分野へ転用するノウハウをアピールした。陸・海・空のドローンを連携させて通信を一元管理するエコシステムのほか、電波が届かない環境でもAIで自動運転を行う無人車両などが紹介された。ある無人車両関連企業の担当者は、民間向けとして物流用と消防活動用の2種類を展開していると説明している。

海上ドローンの運用と日本への示唆
Wedge ONLINEの報道によれば、ウクライナ海軍は海上ドローン「カトラン」の甲板に多数の迎撃用ドローンを搭載し、ロシア軍のアンテナを破壊してレーダーを無力化する戦術を展開している。ウクライナのドローン生産は空中用が90%以上を占め、地上用が約5%、水上・水中用が約1%にとどまるものの、港湾攻撃や海上インフラ防護の観点から海軍力再構築の重要性が増している。ウクライナの指揮官たちは、技術そのものよりも状況へ素早く適応できるチームの存在こそがドローン戦の鍵であると強調している。
