2026年8月23日、シカゴのウィントラスト・アリーナで開催されたインディアナ・フィーバー対シカゴ・スカイのWNBAレギュラーシーズン試合において、元NBA選手のイネス・カンター・フリーダム氏が、シカゴ・スカイのガード、ナターシャ・クラウド選手との口論の末に会場から退場させられた。
試合中の衝突と退場の経緯
衝突が起きたのは第3クォーター後半、インディアナ・フィーバーが81-75でリードし、クラウド選手がドライブからのレイアップを決めてタイムアウトが呼ばれたタイミングだった。コートサイドのベースライン席に座っていたフリーダム氏に対し、クラウド選手が歩み寄り、彼に向かって叫び始めた。これに対し、フリーダム氏は立ち上がり、腕を広げてコート側に足を踏み出したため、警備員が介入し彼を会場外へと誘導した。

当時の状況について、フリーダム氏の隣に座っていたファンのトリシア・スミス氏は、クラウド選手が先に挑発し、「彼の顔に向かってひどい言葉を投げかけていた」と証言している。一方、スカイのタイラー・マーシュ監督は、クラウド選手について「チームと、守るべき人々を守る人物として受け入れている」と支持を表明した。
退場に際し、フリーダム氏は拳を突き上げ、クラウド選手の話し方を手で真似て揶揄する様子を見せた。また、ロビーで警察官やアリーナ関係者に「女性を支持しているから追い出された。これは受け入れられない」と不満を述べた。退場後、彼はX(旧Twitter)に「女性を支持しただけでWNBAの試合から追い出された」と投稿した。
対立の背景にあるジェンダー論争
この衝突の背景には、WNBAにおけるトランスジェンダー選手の出場資格を巡る激しい論争がある。フリーダム氏は当日、「WOMAN noun. adult human female(女性:名詞。成人の人間女性)」と定義が記されたTシャツを着用していた。

フリーダム氏は、女性スポーツにおけるトランスジェンダー選手の競技参加に強く反対しており、今月初めには、リーグのジェンダー資格ルールを問うため、2027年のWNBAドラフトへの参加を正式に表明した。彼は「もし自分が女性であると自認してコートに立てば、ルール上は許可される」と主張している。同様に、元NBA選手のロイス・ホワイト氏もWNBAドラフトへの参加を表明した。
現行の団体交渉協定(CBA)では、「女性である選手のみがWNBAでプレーできる」と定められているが、「女性」の具体的な定義は記載されておらず、WNBAはトランスジェンダーやインターセックスの選手の資格に関する公開ポリシーを持っていない。
会場外での混乱とリーグの状況
試合前から、ウィントラスト・アリーナの外では混乱が起きていた。フリーダム氏が到着すると、プログレッシブなファンらの集団に囲まれ、警備員が彼を保護する盾となる場面があった。一部の観客は彼に中指を立てたり、「リーグにいた頃はひどい選手だった」と野次を飛ばしたりした。フリーダム氏はこの様子を動画で撮影し、「シカゴのWNBA試合前に攻撃を受けている」と投稿した。

試合は、ケイトリン・クラーク選手が所属するインディアナ・フィーバーが113-90でシカゴ・スカイに勝利した。
関連する主要事実
- 出来事: イネス・カンター・フリーダム氏がナターシャ・クラウド選手との口論で退場
- 日時: 2026年8月23日
- 場所: ウィントラスト・アリーナ(シカゴ)
- 対戦カード: インディアナ・フィーバー vs シカゴ・スカイ(結果:113-90でフィーバー勝利)
- 争点: WNBAにおける女性の定義およびトランスジェンダー選手の出場資格