10月1日より各証券会社で口座開設の受け付けが始まる「こどもNISA」は、0歳から17歳を負う親世代を対象に年間60万円まで非課税で投資信託を運用できる新制度です。2027年1月の制度開始を控え、口座獲得に向けた顧客争奪戦が加速する一方、親のマネーリテラシーによる将来の格差拡大が懸念されています。
10月1日開始のこどもNISAとは何か
0歳から17歳までの子どもを対象とする新制度「こどもNISA」は、10月1日から各証券会社で口座の受け付けがスタートします。実際の制度開始は2027年1月です。年間投資枠は60万円で、非課税保有限度額は最大600万円に設定されています。投資対象は成人向けNISAのつみたて投資枠と同様に、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られます。12歳以降は、資金を子どものために使い本人の同意を得るなどの要件を満たせば、親権者による払い出しも可能になります。国が導入する狙いについて、片山さつき財務相は「0歳からの口座開設を可能にすることで大学進学等のライフイベントに備える資金確保を支援できる」と語っています。教育費の高騰が続く中、運用益が非課税になる仕組みは将来の備えとして注目を集めています。
ネット証券各社で激化する顧客争奪戦
制度開始を2027年1月に控える中、各社は10月1日の口座開設受付開始に合わせて積極的なキャンペーンを展開しています。ネット証券各社は親世代の関心を取り込もうと、さまざまな特典を用意しました。楽天証券は口座開設などの条件を満たした利用者に最大5000円の現金をプレゼントするキャンペーンを予定しています。一方のSBI証券は、人気絵本「パンどろぼう」とのコラボレーション企画を実施し、おこづかい帳などのオリジナルグッズを提供します。その他の証券会社や銀行でも、ポイント付与や定期預金の利率アップといった施策が打ち出されています。こどもNISAは18歳になる年の1月1日から自動的に成人向けNISA口座に引き継がれる仕組みになっており、証券会社にとって未来の顧客獲得につながる重要な接点となっています。
懸念される親の経済力とリテラシー格差
豪華なキャンペーンで盛り上がりを見せる一方で、新制度がもたらす影響については危惧の声も上がっています。最大の懸念材料として指摘されているのが、親世代のマネーリテラシーや経済力による格差の問題です。年間最大60万円、6年間で最大600万円の非課税枠をフルに活用できる家庭と、そうでない家庭の間では、子どもが18歳を迎える頃に大きな資産の差が生まれる可能性があります。投資への理解や余剰資金の有無が子どもの将来の資産形成に直接影響を与える構造について、専門的な視点から問題視する声が強まっています。すべての家庭が等しく恩恵を受けられるわけではない点が、この制度の抱える大きな課題となっています。
将来の資産形成と新制度の今後の見通し
大学進学などのライフイベントに向けた資金確保の有効な手段として期待される一方で、格差拡大の引き金になり得るとも指摘されるこどもNISAは、複雑な課題を抱えながら2027年1月の本格始動へ向かっています。10月1日の口座開設受け付け開始を皮切りに、各社の顧客獲得競争はさらに激しさを増す見通しです。制度を利用する家庭の選択が将来の子どもの資金環境を左右するため、今後は各世帯の判断力や、国による適切な情報提供のあり方が問われ続けることになります。