支持率31%に低迷するトランプ政権の苦境
11月3日の投開票が迫るなか、トランプ大統領の支持率は31%まで落ち込んでいる。Yahoo!ニュースの報道によれば、この低迷の背景には、ガソリン価格の高騰をはじめとするインフレが庶民の暮らしを直撃している実態がある。ニューズウィーク日本版(10月27日号)は、下院だけでなく上院でも民主党が多数派を奪還する可能性を世論調査が示唆していると伝えた。トランプ氏は共和党の勝利を条件に、全成人へ日本円で約80万円の給付金を配ると公約しているが、選挙戦術としての効果は不透明なままだ。
「破壊」を口にする極端な政治レトリック
トランプ氏は集会での発言を先鋭化させている。2026年10月5日にネブラスカ州で行った演説では、イラン戦争によるガソリン価格上昇への批判に対し、「ロサンゼルスを壊滅させればいい。サンディエゴを壊滅させればいい」と放った。Yahoo!ニュースは、これが「俺がイランを攻撃したことに文句を言うのか。ならば核攻撃を受けてもいいのか」という反語的な反論であると分析している。国家の安全を名目に、戦争の経済的代償を正当化する手法だが、イランが米本土に届く核ミサイルを実戦配備した証拠は確認されていない。

大統領令による地名変更の強硬姿勢
大統領の言動は、米国内の地理的名称の変更にまで及んでいる。トランプ氏は2025年にメキシコ湾を「アメリカ湾(Gulf of America)」と改称する大統領令を発した。さらに2026年8月には、カナダと共有するオンタリオ湖を「アメリカ湖(Lake America)」と改める署名も行っている。10月10日のテネシー州での集会では、大西洋か太平洋を「トランプ海(Trump Ocean)」と呼ぶ案にも言及した。冗談を交えた発言とはいえ、国際社会が追随する義務のない一方的な改称は、現職大統領の行動として異例の事態である。
農業機械の操作をめぐる不可解な主張
トランプ氏は10月5日の演説で、近年の芝刈り機の始動には「MIT(マサチューセッツ工科大学)で成績上位の学生でなければならない」ほどの知識が必要だと主張した。複雑な仕組みを自分が撤廃したと誇示し、始動の仕草を実演して会場の喝采を浴びた。しかし、現在の芝刈り機にはボタン一つで動く製品も多く、機械を修理する権利と操作の複雑さは本来別の問題である。ジャーナリストの山岡鉄秀氏は、こうした一連の言動を単なる混乱と片づけず、中間選挙に向けた聴衆の感情を揺さぶる政治的戦略の一環として読み解くべきだと指摘している。
終わらない戦争と中間選挙後の展望
今回の選挙戦において、最大の争点は「トランプ大統領そのもの」と目されている。ニューズウィーク日本版によると、2026年2月に始まったイラン攻撃は長期化しており、戦争終結のめどは立っていない。元CIA工作員のグレン・カール氏は、激戦区の情勢を分析し、現政権にとって厳しい選挙戦になると予測している。インフレと戦争という二つの難題を抱えたトランプ政権が、11月3日の選挙後にどのような外交・内政戦略を採るのか。次期大統領選にも直結するこの選挙は、世界秩序の行方を左右する局面を迎えている。