世界で広く利用されるプログラミング言語「PHP」に重大な脆弱性が判明し、日本国内の行政機関や医療機関のシステムに影響が広がった。予約サイトやホームページの停止が相次ぎ、市民生活にも支障が出ている。現時点で不正アクセスや情報の流出は確認されていない。
医療機関や自治体で相次ぐシステム停止
PHPの脆弱性問題を受け、各地で公共サービスの中断が相次いでいる。大阪府の大阪はびきの医療センターは、21日夜の政府による注意喚起を受け、乳がん・子宮がん検診の予約サイトを閉鎖した。復旧の見通しは立っておらず、担当者は「患者さんに少なからず影響は出ている」と述べ、安全確認を急いでいる。北海道の市立釧路総合病院もホームページを停止し、診療科案内などが確認できない状態が続いた。
公共サービスへの影響と市民の戸惑い
ホームページの停止は市民の利便性に直結している。埼玉県川口市や川越市の市立図書館では電子書籍サービスが利用不能となり、金沢市の金沢21世紀美術館では前売りチケットの予約が停止された。鳥取県では防災情報ポータルが一時停止し、58歳の男性会社員は「台風が近づいており、情報が見られないのは困る」と不安を語った。神奈川県警では、運転免許証の更新予約サイトが22日午前1時から約15時間にわたって停止された。
中央省庁も予防的措置で対応
政府機関も21日深夜からシステム停止などの対応に追われた。気象庁は22日明け方にホームページの一部を停止し、各地の気温や降水量のデータが閲覧できなくなった。厚生労働省は「介護サービス情報公表システム」や医療機関向けのポータルサイトなど31件を停止し、国土交通省や最高裁、宮内庁も一部機能を一時的に制限した。各機関は不正アクセスや情報漏えいは確認されていないとしている。
専門家が指摘する修正の重要性
PHPを利用する個人や企業はどう対応すべきか。立命館大学の上原哲太郎教授は、プログラムを自ら修正できる場合は、PHP開発チームが公開する情報に基づき即座に修正するよう求めた。修正が困難な場合はサーバー側の対応を待つ必要があるため、運用の一時停止が推奨される。上原氏は「放置すれば、サイバー攻撃でデータを抜き取られるリスクが高い」と警告した。
警視庁が重要インフラ事業者と緊急会議
国内企業での個人情報流出を受け、警視庁は22日、都内で「サイバーテロ対策協議会」の緊急会議を開催した。電力や金融など59社のセキュリティ担当者ら約80人が参加し、組織的な対策強化を確認した。警視庁サイバー攻撃対策センターの高橋建次所長は、1000万件超の個人情報が流出した事例に触れ、データの暗号化や不要な個人データの消去を検討するよう各社に呼びかけた。
各機関や企業は、今後もシステムの安全性を確認しながら順次復旧を進める方針だ。専門家や当局は、さらなる被害を防ぐために、管理者側が迅速にパッチの適用やサイトの停止といった予防措置を講じることが不可欠であると強調している。