事件が発生したのは、ニューヨークのタイムズスクエアにある「ワン・タイムズスクエア」ビルの近く、警察のサブステーションの隣です。この場所は、毎年恒例のカウントダウンイベントである「ボール・ドロップ」が行われる場所であり、市内でも特に観光客が多く、警備が極めて手厚い一角です。警察の記録によると、事件の通報は午後4時26分にFDNY(ニューヨーク市消防局)へ寄せられ、午後4時27分には警察による発砲が行われました。
タイムズスクエアでの無差別刺傷事件の経緯
警察のジェシカ・ティッシュ警察委員長が記者会見で語ったところによれば、クイーンズ出身の49歳の女は、ショッピングバッグから2本のナイフを取り出しました。女はまず、地下鉄駅から出てきたばかりの68歳の男性を腹部刺傷しました。男性は当時、妻と共に道を渡るために待機している最中でした。その数秒後、女は32歳の女性の腹部も刺しました。警察は、被害者が観光客か地元住民かについては明らかにしていません。
警察当局による現場の対応と女の最期
SNSに投稿された動画には、少なくとも10人の警察官が女を取り囲む様子が映っています。女は2本の大きなキッチンナイフを手に持っていました。警察は数分間にわたり、女にナイフを捨てるよう説得を試みましたが、女は「私は何も捨てない、あんたたち二人とも殺してやる」と応じました。その後、警察はテーザー銃を使用しましたが、女を無力化させることはできませんでした。女はナイフを前方に振りかざしながら警察官に向かって素早く歩き出し、最終的に2人の警察官が女に向けて発砲しました。
現場の動画には、女が地面に倒れた後、警察官が手錠をかけ、仰向けにして応急処置を施す様子が記録されています。警察は現在、事件の動機について調査を進めていますが、当初は強盗事件として報告されていたものの、現在は明確な動機は見当たらないとしています。なお、この事件により西42丁目から西47丁目にかけての交通規制が行われました。
当局の声明とメンタルヘルス歴
ティッシュ警察委員長は記者会見で、今回の事件について「世界の交差点であるタイムズスクエアの中心で起きた、非常に危険な状況だった」と振り返りました。また、容疑者の女については「NYPD(ニューヨーク市警察)に記録された精神疾患の既往歴」があり、2018年および2019年に警察が関与した事案があったものの、同局での逮捕歴はないと説明しました。テロ攻撃の兆候を示す証拠は確認されていません。

被害者の名前は、近親者への通知が完了するまで公表されていません。市長のゾーラン・マムダニ氏は「今日起きた出来事によって、被害者家族の人生が打ち砕かれたことを私たちは知っており、この瞬間から続く数時間、数日、数週間を通じて、彼らに寄り添い続けます」と述べました。マムダニ氏とティッシュ警察委員長は共に、警察官の行動を称賛し、彼らの迅速な介入がなければ、さらに多くの人が負傷、あるいは死亡していた可能性があると述べています。
ニューヨーク市における治安状況
ニューヨーク市では今年に入り、暴力犯罪が急激に減少しており、殺人件数は24%減少し、過去数十年間で最も低い水準に達するペースで推移しています。しかし、今回の事件は、今年タイムズスクエアで発生した2件目の殺人事件となりました。同エリアでは5月にも男性が刺殺される事件が発生しています。