一般社団法人食品冷凍技術推進機構(FFTech)は2026年9月1日、世界初となる「凍結装置性能認証制度」に基づく初の認証を発行した。9月中にサラヤ、ゼロカラ、ホシザキの3社計5機種が認証を取得。科学的根拠に基づく統一基準により、業務用凍結装置の能力を客観的に比較できる体制が整った。
統一基準による業務用凍結装置の性能可視化
業務用凍結装置の凍結能力は、これまで各メーカーが独自の条件で測定した数値を公表してきた。そのため、ユーザーが複数の装置を比較検討する際に、正確な性能差を判断することが困難だった。この課題を解消するため、FFTechは2026年3月9日に「凍結装置性能認証制度」の運用を開始している。
本制度では、装置ごとに異なる測定条件を排除し、科学的根拠に基づいた統一条件で実測を行う。試験には牛肉の赤身に近い凍結特性を持つ「テストパッケージ(タイロースゲル)」を使用。厚さ2.5cm、重量500gの板状サンプルを使い、中心温度を1秒ごとに記録する。さらに、メーカーが定める標準積載量を投入した実運用に近い環境で試験を実施し、東京海洋大学の渡辺学教授を委員長とする第三者委員会が、手順の妥当性から運用までを厳格に監督する。
3社5機種が初の認証を取得
2026年9月中に認証を取得した企業と機種は以下の通りである。
- サラヤ株式会社:ラピッドフリーザー(SF-20、SF-10、SF-5)
- 株式会社ゼロカラ:超高速凍結機 ZEROフリーザーM100
- ホシザキ株式会社:液体急速凍結機 HLF-2A
これらの装置はいずれも冷却した液体に食品を浸す「液体凍結方式」を採用している。各機種の標準積載量や凍結試験データは、FFTechの公式サイトで順次公開されており、認証を受けたメーカーはカタログやウェブサイトで認証マークを表示できる。
凍結速度を測る二つの指標と星評価
認証結果では、凍結性能を示す二つの主要な指標が示される。一つは「MIG Time」で、食品内の水分が氷に変わる相変化区間を通過する時間だ。この時間が短いほど氷結晶が小さく抑えられ、食品の品質維持に有利とされる。もう一つは「FR Time」で、中心温度が10℃から−15℃に低下するまでの総時間である。
さらに、現場での選定を容易にするため、MIG Timeをもとに5段階で評価する「凍結パワー認定制度」も導入された。MIG Timeが20分以内の機種には最高評価の「★5」が付与される。FFTechは、これらの数値が装置の総合的な優劣を示すものではなく、あくまで自社の用途や食品に最適な装置を選ぶための判断軸であると強調している。
食品冷凍技術の品質評価統合へ
FFTechの鈴木徹代表理事(東京海洋大学名誉教授)は、今回の認証発行について「凍結技術を科学的に正しく評価し、社会に伝えていくための大きな一歩」と述べた。これまで共通の物差しがなかった市場において、ユーザーが設置環境や食品特性に合わせて装置を比較できる環境の整備を進める方針だ。
FFTechは今後、対象となる装置の方式を順次拡大する。2026年度中には、トンネルフリーザーなどの「連続式凍結装置」を対象とした評価基準の策定に着手する予定だ。将来的には、モデル食品を用いた氷結晶サイズやドリップ量、テクスチャーの数値化といった指標と組み合わせ、食品品質評価の統合を目指すとしている。