韓国政府は、ウクライナが北朝鮮の捕虜2名をソウルへ移送した事実を一方的に公表したことについて、公式な謝罪と説明を求めている。韓国大統領室は、移送に関する秘密保持合意があったと主張する一方、ウクライナ側はこれを否定しており、両国間の信頼関係に深刻な亀裂が生じている。
移送の公表を巡る対立と韓国側の主張
事の発端は、先週開催された国連総会において、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が、ロシア軍としてウクライナのクルスク地域で戦っていた北朝鮮兵2名を捕らえ、韓国へ移送したと明かしたことにある。韓国大統領室のソン・ギホン広報担当大統領秘書官は、日曜日の声明でこの発表に対し「強い遺憾」を表明した。
韓国側は、移送についてウクライナ側と複数のチャンネルを通じて協議を重ねており、その中で秘密保持を要請していたと説明している。ソン秘書官は、ウクライナ側が合意の存在を否定したことについて、「両国政府間の信頼を著しく損ない、関係に悪影響を及ぼし得る」と指摘した。
捕虜の背景と今後の処遇
今回移送された2名は、2025年1月に捕らえられた。ウクライナと韓国の推計によれば、ロシアを支援するために北朝鮮が派遣した兵士は1万4000人から1万5000人に上り、その大半はクルスク地域に展開しているとされる。2025年2月に現地で兵士と面会したユ・ヨンウォン議員によれば、彼らは北朝鮮の特殊部隊出身であり、北朝鮮の軍事能力や訓練、戦争参加状況に関する重要な情報源となる可能性がある。
韓国統一部は月曜日、北朝鮮離脱住民の保護及び定着支援に関する法律などの関連法規に基づき、彼らのケースを検討する方針を示した。今後、国家情報院による取り調べやセキュリティ審査を経て、保護や定着支援を行うかどうかが判断されることになる。
ゼレンスキー大統領の対北朝鮮非難
ゼレンスキー大統領は、国連総会での演説で北朝鮮軍の投入を「狂気」と表現し、金正恩総書記が兵士を「通貨のように」利用して見返りを得ていると強く非難した。大統領は当初、捕虜をロシア側とウクライナ人捕虜との交換材料として使う意向を示唆していたが、人権団体からのリスク指摘や、捕虜自身が韓国への亡命を希望したという報道も受けていた。
現在、韓国政府が求める公式な謝罪や説明に対し、ウクライナ側がどのような対応をとるのか、また今回の公表によって既に緊張状態にある両国間の協力関係が今後どのような影響を受けるのかについては、依然として不透明なままである。
この事態を受け、北朝鮮の紛争関与やさらなる挑発の可能性に対する国際的な懸念が高まっており、平和的な解決に向けた外交努力の強化を求める声が上がっている。