イングランドとウェールズにおける終末期患者の尊厳死合法化をめぐり、英下院は2026年9月11日、ローレン・エドワーズ議員が提出した法案を反対286票、賛成270票で否決した。この採決結果により、次回の総選挙前に同法案が成立する可能性はほぼ絶たれた。
下院の採決結果と予想外の否決
制度案の具体的な枠組みと政府のスタンス
今回提出された法案は、イングランドとウェールズに居住する精神的にクリアな終末期成人のうち、余命が6ヶ月以下と診断された人々を対象としていた。ロイターが伝えるように、専門家パネルによる厳格な承認を経て、自らの死の様態をコントロールする権利を認める設計になっていた。
この問題は個人の良心にかかわる事項とされているため、政府主導の法案ではなく、議員個人が抽選を経て独自に提出する議員立法(Private Member’s Bill)の形式が取られた。そのため、アンディ・バーナム首相とその大臣たちは公式に中立の立場を維持している。
しかし、バーナム首相は、前任者が賛成票を投じたのに対し、自身は今回の採決に棄権することを表明しており、キア・スターマーよりも支持に消極的であると見られている。バーナム首相は、国の緩和ケアおよび成人社会福祉ケアシステムが改善されるまで、尊厳死に関する議論は一時停止すべきであるとの考えを示している。
世論の支持と法案推進派の反発
世論調査では一貫して法制化への高い支持が示されている。イプソスが月曜日に発表した世論調査では、英国民の3人に2人が原則として尊厳死の合法化を支持していることが明らかになった。ただし、一部の層では、緩和ケアへの追加財政支援が行われることが支持の条件となっている。
法案を率いたエドワーズ議員は、今回の法案成立こそが議会における「最も切実で進歩的な改革(the most pressing, progressive reform)」であると訴えていた。同議員はガーディアン紙への寄稿で次のように主張している。

ローレン・エドワーズ議員は、終末期患者が自らの死のあり方をある程度コントロールできる選択肢を、今こそ与えるべきであると述べた。
さらにエドワーズ議員は、有権者の大多数が支持しているにもかかわらず、「非選出の少数の貴族院議員(a minority of unelected peers)」によって改革が阻まれるべきではないと強く訴えていた。ロイターによると、過去には脆弱な病人が強要からどのように保護されるかという懸念が合法化の妨げとなり、議会は10年前にも同様の法案を否決していた。