フーシ派は金曜早朝、国際的に認められたイエメン政府軍に対する急速な攻勢を展開し、沿岸部の最後の町を制圧した。政府関係者や目撃者の報告によると、戦闘員はバブ・エル・マンデブ海峡にある島々へも進出した。この海峡は紅海とアデン湾を結ぶ重要な航路であり、米国とイランの戦争開始後、ホルムズ海峡に代わるエネルギー輸送ルートとして機能していた。かつては世界的なエネルギー輸送の約5分の1がホルムズ海峡を通過していた。
モカ港の陥落とバブ・エル・マンデブ海峡の完全掌握
アルジャジーラのマハ・アリ記者は、フーシ派の戦闘員が木曜日の夜明けに沿岸の町モカに到達し、その後、近隣の島々を制圧するために沖合へ移動したと報じた。モカはバブ・エル・マンデブ海峡から北に約75キロメートル(46マイル)に位置する戦略的な都市である。また、ロイター通信が金曜に伝えたイエメン政府筋の情報によれば、フーシ派はバブ・エル・マンデブ沿岸のドゥバブの町に到達した。
さらに、政府軍が撤退した後、戦闘員を乗せたボートが海峡の中心に位置するマイユン島(ペリム島としても知られる)に到達したことを政府当局者が認めたと報じられている。サナアに拠点を置くイエメン通信社は、現場の情報筋を引用し、フーシ派が海峡を見下ろすアル・オマリキャンプを制圧したと発表した。
「フーシ派はバブ・エル・マンデブ地域の接収を完了した」とAFP通信が引用した情報筋は述べた。一方、アルジャジーラのナビル・アル・ユセフィ記者は、フーシ派政府によるバブ・エル・マンデブの支配に関する公式発表はまだなされていないと指摘している。
アルジャジーラのユセフ・マウリー記者は、サナアから「フーシ派は今、強力な権限を握っている。彼らはレバレッジを持っており、バブ・エル・マンデブと紅海を通過する船舶交通をコントロールしている」と報告した。
原油価格100ドル突破と世界的なエネルギー市場への波及
フーシ派による海峡支配の報告を受け、エネルギー市場は即座に反応した。米国でのディーゼル平均価格は1ガロンあたり6ドルを超え、金曜日の原油価格は5月中旬以来初めて、1バレルあたり100ドルを超えて週を終える見通しとなった。国際エネルギー機関(IEA)は金曜日、米イラン戦争により中東からの正常なフローが2027年まで遅れるため、今年の世界の石油供給と需要は以前の想定よりもさらに減少する可能性があるとの予測を出した。
具体的な取引価格(金曜時点)は以下の通りである。
| 指標価格 | 変動率 |
|---|---|
| 北海ブレント原油先物(11月限):105.37ドル | 2.1%下落 |
| 米西テキサス中間原油(WTI)先物(10月限):100.76ドル | 1.7%下落 |
INGの戦略家であるウォーレン・パターソン氏とエヴァ・マンテイ氏は、金曜日に発表したリサーチノートの中で、「イエメンのフーシ派が紅海の港モカを制圧したことで、最近の出来事はバブ・エル・マンデブ海峡周辺の船舶への脅威を増大させている」とし、「サウジアラビアのエネルギーインフラと紅海からの原油輸出のリスクが高まっている」と述べた。
イランの戦略的レバレッジと外交的動き
今回のフーシ派の勝利は、米国との6ヶ月にわたる紛争において、テヘランが新たなレバレッジ(交渉材料)を確保したことを意味する。リスクインテリジェンス会社Verisk Maplecroftの首席中東・北アフリカアナリスト、ハミッシュ・キニア氏は、モカの制圧がサウジアラビアにとって「大きな打撃」であり、バブ・エル・マンデブ海峡への支配を強める可能性を高めると分析している。
イランはすでにホルムズ海峡を通じて湾岸輸出を絞り込むことで米国に圧力をかけており、今回の紅海沿岸の支配により、アラビア半島の両端にある2つの重要な石油チョークポイントを同時に制御する形となる。キニア氏は、テヘランとワシントンの双方が「時間は自分たちの味方である」と考えているため、現時点で新たな停戦の可能性は低いと述べている。
こうした状況の中、イラン外務省はサウジアラビアによるイエメン封鎖の停止と交渉の再開を求める声明を発表した。これはモカ陥落後、テヘランがイエメンに関して出した初の声明である。また、イランのアッバス・アラグチ外相は、パキスタン軍のアシム・ムニール将軍およびサウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン外相と個別に電話会談を行い、地域安定のための相互調整について協議したと報じられている。
対立する主張と今後の不透明感
フーシ派政治局のメンバーであるハゼム・アル・アサド氏は、アルアラビー・アルジャディードに対し、「紅海とバブ・エル・マンデブにおける航行の自由と国際貿易は安全で秩序あるものであり、イエメン側から危険にさらされることはないため、国際的な懸念の理由はない」と主張し、懸念を払拭しようとした。

しかし、現場の状況は緊張し続けている。サウジアラビア軍がモカ空港を空爆したとの報告がある一方、アルジャジーラは即座に被害や死傷者を確認できていない。また、イエメン政府軍がフーシ派を押し戻すための反撃準備を整えている兆候はほとんどない。オマーンがホルムズ海峡の再開に向けた合意についてイランと交渉しており、湾岸諸国との協議を調整しているとされるが、米イラン双方の思惑が対立しており、早期の停戦は困難な状況にある。