能登半島地震で被災した石川県能登地方で、ポケモンのキャラクターを活用した観光振興が展開され、利用客が急増している。読売新聞やdメニューニュースによると、被災地支援の一環として改修された足湯施設では利用客が改修前の約20倍に達するなど顕著な成果を上げている。
和倉温泉の足湯施設で利用客が約20倍に急増
開湯1200年とされる七尾市の和倉温泉では、地震で配管などが損傷した市営の足湯施設が営業休止を余儀なくされていた。被災地支援に取り組む一般財団法人「ポケモン・ウィズ・ユー財団」が改修費の一部を負担し、今年5月に「わくらポケモン足湯」として再開した。浴槽を7体のポケモンが囲み、内装にもカラフルなイラストがあしらわれている。利用客は月平均1万人と改修前の約20倍に増加した。家族と千葉県から訪れた10歳の小学4年の女児は、「ポケモンが地域の人に協力しているのが伝わった。また能登に来たい」と読売新聞の取材に笑顔で話した。
包括連携協定に基づく観光地での様々な周遊施策
石川県は被災半年後の2024年7月、同財団からの働きかけを受けて包括連携協定を結び、被災地の復興にポケモンを活用してきた。道の駅や輪島市の名勝である白米千枚田などの観光地には、ポケモンと記念撮影できるスポットが設けられている。さらに、これらを巡る周遊バスの運行やスタンプラリーも実施され、観光客の回遊性を高める取り組みが進められている。

能登空港の愛称変更と利用客数の大幅な増加
今年7月には、空の玄関口である能登空港が「のと里山ポケモン・ウィズ・ユー空港」へと改称された。吹き抜けの空間には巨大なピカチュウのバルーンが浮かぶ仕様になっている。改称後の利用客は1日平均約3220人を記録し、昨年同期比で約4倍に増加した。同財団の新井賢一さんは、「にぎわいを取り戻すお手伝いができるのではないか」と読売新聞に対して語っている。
他地域のキャラクター活用事例との違いと課題
鳥取県境港市の「ゲゲゲの鬼太郎」や高知県香美市の「アンパンマンミュージアム」など、著名なキャラクターを誘客に繋げている自治体は各地に存在する。しかし、石川県とポケモン財団による包括連携協定は2027年8月までの期限付きであり、空港の改称も2029年9月までの3年間限定となっている。昨年の能登地方の観光客数は372万人で、被災前年の2023年比で6割まで回復しているものの、協定終了後のポケモンの取り扱いは現在も協議中である。輪島市観光協会の浅野勝英事務局長は、「ポケモンに頼らずおもてなしができるよう観光客の受け入れに力を入れていきたい」と述べている。
協定終了後を見据えた交流人口の創出に向けた視点
映画やアニメを観光に活用するコンテンツツーリズムに詳しい北海道大観光学高等研究センターの山村高淑教授は、「ポケモンは能登に足を運ぶきっかけとしては効果絶大だが、繰り返し訪れる交流人口をどれだけ作れるかが重要だ。地元の人や文化、復興の歩みに触れる機会の創出が必要になる」と指摘している。期間限定の協定が終了したあとも持続的な観光振興を維持できるかどうかが、今後の大きな課題となっている。