アメリカ軍は4日、イギリスの対テロ警察による捜査が続くフェアフォード空軍基地から、配備していたB1戦略爆撃機を全てアメリカ国内の基地へ移動させたと発表した。基地周辺ではテロ行為の準備などの疑いでこれまでに男6人が逮捕されており、米英当局の間で事態の対応をめぐる動きが緊密化している。
フェアフォード空軍基地から米B1爆撃機が全機撤収
米国防総省は4日、英イングランド南西部にある英王立空軍フェアフォード基地から、配備していたB1爆撃機12機すべてを米本国の基地へ再配備したことを公式に認めた。bbc.comなどの報道によると、米政府は移動の理由を明確にしていないが、ロイターなどの報道では、同基地が対イラン軍事作戦に使用されていたことが背景にあるとされる。共同通信の報道では、イランが後ろ盾となった新たな攻撃計画の懸念が浮上したため、米軍が撤収を急いだ異例の動きであると伝えられている。フェアフォード基地は数十年にわたりアメリカ空軍の前線作戦拠点として使用されてきた歴史を持つ。
基地周辺での相次ぐ逮捕とテロ準備の疑い
イギリスの対テロ警察による捜査の発端となったのは、9月27日未明にフェアフォード空軍基地の近くで発生した事件だ。地元の農家が不審な複数のバンと覆面姿の男たちを目撃して通報し、警察が出動したことで周辺の85世帯に避難指示が出される事態となった。現場で23歳から25歳の英国人男性5人が逮捕され、警察は爆発物関連の違法行為とテロ行為の準備の疑いで調べていた。即席爆発装置は見つからなかったものの、車両からガソリンが発見されたとAFPBB Newsなどは報じている。さらに10月1日には、25歳の6人目の男性がテロ行為の準備容疑でロンドンで逮捕された。
英首相が指摘するイラン関与の強い兆候と否定
アンディ・バーナム英首相は9月30日、BBCなどの取材に対し、フェアフォード空軍基地付近での事件にイランが関与した「有力なしるし」や「強い兆候」があると言明した。イラン政府は関与を強く否定しており、在ロンドンのイラン大使館は関与したとの見方を断固として拒否している。またアッバス・アラグチ外相は自身のX(旧ツイッター)に、バーナム首相の指摘は「お門違いだ」と投稿した。イラン側は7月、自国の領土に対する侵略行為に使用された基地は正当な標的となると警告を発しており、今回の事件との関連性が注目されている。
逮捕された容疑者の保釈をめぐる米英の温度差
イギリス警察は逮捕された5人の男性について、「経験と戦略に基づいた捜査上の決定」だとして翌日には保釈を発表し、3日には6人目の男性も保釈されたことを確認した。この英国側の対応に対し、アメリカ側からは反発の声が上がっている。ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスでの記者団の取材に対し、「自分なら『保釈を認めるな』と言っただろう。彼らの釈放に驚いている」と不快感を示した。一方でトランプ氏は、この件についてイギリスはアメリカと非常に緊密に連携してきたとも付け加えている。マルコ・ルビオ国務長官は28日の米FOXニュースの番組で、外国の行為者が関与していたと述べていた。

海外基地の安全保障と日本が直面する教訓
Yahoo!ニュースのエキスパート記事によると、英国の米軍基地をめぐる一連のテロ疑惑は日本に対しても重要な教訓をもたらしている。米空軍三沢基地所属のF-16戦闘機も中東に展開して対イラン作戦に投入されたと報じられており、警察庁は開戦直後の3月に全国の米軍基地などの警備強化を指示していた。日本国内への具体的な攻撃計画は確認されていないものの、在日米軍基地がどのような作戦を担うかによって狙われるリスクは変わり得る。海外での米軍の作戦と基地所在国の安全保障が切り離せないという現実を、今回の事件は浮き彫りにしている。イギリス国防省は今回の米軍の撤収決定に関してコメントを出しておらず、事態の収束に向けた今後の捜査と外交上の動向が注視されている。