日本の10年物国債利回りが3%に達し、1996年9月以来、約30年ぶりの高水準を記録した。日銀による追加利上げへの観測に加え、政府の財政拡大への懸念が債券売りを加速させている。米国のスコット・ベセント財務長官は、日銀がより積極的に金利を引き上げることを望んでいるとの意向を示しており、市場では9月の政策決定会合での利上げ確率が80%から90%と高く見積もられている。
日銀の政策転換と米国の圧力
日銀はこれまで段階的に利上げを行っており、昨年12月に0.5%から0.75%へ、そして今年6月には1%まで政策金利を引き上げた。この1%という水準は31年ぶりの高さとなる。日銀は9月17日と18日に会合を開く予定で、市場では金利を1.25%まで引き上げる可能性が意識されている。これが実現すれば、わずか9カ月間でベンチマーク金利が0.75%上昇することになる。
こうした動きの背景には、米国からの強い働きかけがある。ノースカロライナ州アシュビルで開催されたG20会合において、スコット・ベセント財務長官は、日本政府と日銀が円高につながる措置を講じると信じていると述べた。また、ベセント氏は植田和男日銀総裁に対し、金融政策において「正しいこと」を行うよう期待していると表明した。NHKが報じた米国財務次官エリン・ブラウン氏へのインタビューによると、ベセント氏は植田総裁と片山サツキ財務大臣に対し、次の一手は利上げであるべきだと促し、公的財政を持続可能な足場に乗せるシグナルを出すよう求めたとされる。
一方、片山財務大臣は記者団に対し、金融政策については話題に上がらなかったと述べ、米国との間では円相場の秩序ある推移が不可欠であること、および日米の協調的な取り組みが重要であることを確認したと説明した。財務省高官は、日銀は米国の指示ではなく日本の経済状況に基づいて政策を決定すると述べている。
高水準に達する国債利回りと財政懸念
10年債利回りの上昇は、高市早苗政権による積極的な財政拡大策への警戒感も反映している。2027年度予算の要望額は、特定金額が設定されている事業のみで約140兆円に達する見通しで、これは過去最高となる。これは、2026年度の当初予算122.3兆円を大幅に上回る規模だ。

短中期の利回りも極端な動きを見せており、5年債は最高値を更新し、2年債も31年以上ぶりの高水準となる1.746%まで上昇した。
円安の進行と「円キャリー取引」への影響
金利上昇は通常、通貨をサポートするが、現在の円相場はドルに対し160円前後で推移し、弱含んでいる。東京は7月30日から8月26日の間に約15.4兆円(約970億ドル)を投じて為替介入を実施し、7月31日には米国との共同介入も行ったが、得られた効果の半分以上をすでに失っている。

この状況は、低金利の円を借りて海外の高利回り資産に投資する「円キャリー取引」に影響を与えている。米日2年債の利回り格差は、2023年から2024年のピーク時の約5%から2.64%まで縮小した。円が急激に上昇すれば、これらのポジションの強制的な解消を招き、リスク資産に波及する。実際、2024年8月には円建てポジションの解消により、ビットコインやイーサリアムが最大20%下落した事例がある。
| 項目 | 数値 / 状態 | 備考 |
|---|---|---|
| 10年物国債利回り | 3%到達 | 1996年9月以来の最高水準 |
| 2年物国債利回り | 1.746% | 31年以上ぶりの高水準 |
| 日銀政策金利 | 1% | 1995年以来の水準 |
| ドル円相場 | 約160円 | 介入の閾値とされる水準 |
| 2027年度予算要望額 | 約140兆円 | 過去最高となる見通し |