日本語版
最新ニュース
世界

国連もIMFもWTOも機能不全に…大国が責任を放棄する世界で「人類の底線」が迫っている

国際政治学者の佐橋亮氏が『文藝春秋』2026年11月号の連載「底線思考」で、アメリカと中国の二大国が責任を放棄する中で、国連やIMFなどの既存国際組織が機能不全に陥り、人類にとっての底線が迫っていると警告した。Yahoo!ニュースなどが報じた。 大恐慌の教訓とキンドルバーガーの罠 国際経済史家のチャールズ・キンドルバーガーは、1929年10月24日のニューヨーク証券取引所での株価急落に端を発する世界大恐慌が長引いた背景について、経済システムを安定させる覇権国イギリスにその能力がなく、台頭したアメリカにも意思がなかったと指摘した。どの国も利用できる国際システムを作動させるには、責任を負う供給者たる大国が不可欠である。ハーバード大学の故ジョセフ・ナイもこの点を敷衍し、中国にはかつてのアメリカのような大きな責任を負う用意がないとする「キンドルバーガーの罠」を論じたと、Yahoo!ニュースが伝えている。大国間の衝突を意味する「トゥキディデスの罠」だけでなく、国際秩序を支えようとしない姿勢そのものが大きな問題となっている。 写真:topics.smt.docomo.ne.jp 責任を放棄するトランプのアメリカと中国 いまやトランプ政権のアメリカは世界への責任を負う気を失い、戦後国際秩序をもはや好ましいものとは考えていない。既存の国際秩序の屋台骨だった組織や制度を軽視し、時には自らの利益のために利用する動きを見せている。一方の中国も、アメリカの不在を既存秩序を塗り替える好機と捉えているが、自由主義に基づく負担を引き受けることはしない。他国の干渉を防ぐ主権重視を掲げつつ、自国の利益にかなう領域にのみ資源を集中させていると、topics.smt.docomo.ne.jpが報じている。二大国は異なる理由から自国による決定を最優先し、国際協調の枠組みから距離を置いている。 広がる独裁者たちのクラブと機能不全の国際組織 世界を見渡すと、既存の国際法に代わって非民主的な政治体制に正当性を与えるような、独裁者たちのクラブのような地域機構が跋扈している。国連や国際通貨基金(IMF)、世界貿易機関(WTO)といった国際組織は、問題があれば集まり、費用を分担し、ルールを作って従うという戦後社会の国際協調の習慣を形にしたものだった。しかし、これらを支えるべき二大国が自らが縛られることを拒み、新たな組織を作って利益を追求する構えを見せるなか、既存の組織は形骸化し機能不全に苦しんでいる。人権の伸張やグローバルな課題への協力は、いまや大きな試練に直面している。 リーダー不在の国際社会が迎える底線 これまでの世界を覆ってきた自由主義のプロジェクトの夢は、リーダーの不在と協調の廃れによって大きく揺らいでいる。二大国が自国主権を最優先し、国際秩序の維持に背を向けるなかで、世界はさらなる混乱と変容の時代へ突入しつつある。佐橋亮氏が指摘するように、国際協調がこのまま失われていった先に、人類はどのような底線に直面することになるのだろうか。

国連もIMFもWTOも機能不全に…大国が責任を放棄する世界で「人類の底線」が迫っている

国際政治学者の佐橋亮氏が『文藝春秋』2026年11月号の連載「底線思考」で、アメリカと中国の二大国が責任を放棄する中で、国連やIMFなどの既存国際組織が機能不全に陥り、人類にとっての底線が迫っていると警告した。Yahoo!ニュースなどが報じた。

大恐慌の教訓とキンドルバーガーの罠

国際経済史家のチャールズ・キンドルバーガーは、1929年10月24日のニューヨーク証券取引所での株価急落に端を発する世界大恐慌が長引いた背景について、経済システムを安定させる覇権国イギリスにその能力がなく、台頭したアメリカにも意思がなかったと指摘した。どの国も利用できる国際システムを作動させるには、責任を負う供給者たる大国が不可欠である。ハーバード大学の故ジョセフ・ナイもこの点を敷衍し、中国にはかつてのアメリカのような大きな責任を負う用意がないとする「キンドルバーガーの罠」を論じたと、Yahoo!ニュースが伝えている。大国間の衝突を意味する「トゥキディデスの罠」だけでなく、国際秩序を支えようとしない姿勢そのものが大きな問題となっている。

国連もIMFもWTOも機能不全に…大国が責任を放棄する世界で「人類の底線」が迫っている
写真:topics.smt.docomo.ne.jp

責任を放棄するトランプのアメリカと中国

いまやトランプ政権のアメリカは世界への責任を負う気を失い、戦後国際秩序をもはや好ましいものとは考えていない。既存の国際秩序の屋台骨だった組織や制度を軽視し、時には自らの利益のために利用する動きを見せている。一方の中国も、アメリカの不在を既存秩序を塗り替える好機と捉えているが、自由主義に基づく負担を引き受けることはしない。他国の干渉を防ぐ主権重視を掲げつつ、自国の利益にかなう領域にのみ資源を集中させていると、topics.smt.docomo.ne.jpが報じている。二大国は異なる理由から自国による決定を最優先し、国際協調の枠組みから距離を置いている。

広がる独裁者たちのクラブと機能不全の国際組織

世界を見渡すと、既存の国際法に代わって非民主的な政治体制に正当性を与えるような、独裁者たちのクラブのような地域機構が跋扈している。国連や国際通貨基金(IMF)、世界貿易機関(WTO)といった国際組織は、問題があれば集まり、費用を分担し、ルールを作って従うという戦後社会の国際協調の習慣を形にしたものだった。しかし、これらを支えるべき二大国が自らが縛られることを拒み、新たな組織を作って利益を追求する構えを見せるなか、既存の組織は形骸化し機能不全に苦しんでいる。人権の伸張やグローバルな課題への協力は、いまや大きな試練に直面している。

リーダー不在の国際社会が迎える底線

これまでの世界を覆ってきた自由主義のプロジェクトの夢は、リーダーの不在と協調の廃れによって大きく揺らいでいる。二大国が自国主権を最優先し、国際秩序の維持に背を向けるなかで、世界はさらなる混乱と変容の時代へ突入しつつある。佐橋亮氏が指摘するように、国際協調がこのまま失われていった先に、人類はどのような底線に直面することになるのだろうか。

執筆者について: nipponese

Nipponese News編集部は、国内外のニュースを日本語で分かりやすくお届けします。