ウクライナ空軍は2026年10月14日、ドイツ製自走対空砲「ゲパルト」がジェット推進型の自爆ドローン6機を撃墜する映像を公開した。従来型のプロペラ機より高速な新型ドローンに対し、50年以上前に設計された対空砲が有効な迎撃能力を持つことを実証した形だ。
ゲパルトが最新のジェット自爆ドローン6機を撃墜
ウクライナ空軍の第1021対空ミサイル・砲兵旅団は2026年10月14日、ゲパルト自走対空砲が敵の自爆ドローンを撃墜する様子を収めた映像を公開した。同旅団によると、撃墜したのはジェット推進型の「ゲラン」系ドローン6機である。具体的な機種名は明かされていないが、従来主流だったプロペラ推進式の「シャヘド136」やそのライセンス生産型「ゲラン2」とは異なり、2026年に入ってから急速に配備が進んでいる高速タイプだ。地上車両であるゲパルトが、速度の向上した標的に対しても十分な迎撃能力を維持していることが、この映像から確認できる。

ロシア軍が進めるジェットドローンの発射拠点建設
ABEMA TIMESの報道によれば、ロシア軍はジェットエンジンを搭載したドローンの運用を強化している。衛星画像では、ロシア南西部のロストフ州において、短期間で大規模な発射拠点が建設された様子が捉えられた。8月31日時点では更地だった土地が、わずか6週間後には8本の平行した発射レーンを備えた構造物へと変貌している。軍事専門家の見解として、この拠点は「ゲラニ4」や「ゲラニ5」の発射用とみられ、1日あたり100機以上の発射能力を持つ可能性があるとロイター通信が伝えている。
「安価な巡航ミサイル」と化した高速ドローンの脅威
ジェット推進型ドローンの登場により、ウクライナの防空網はかつてない試練に直面している。ABEMA TIMESによると、代表的なモデルである「ゲラン4」は最大速度が約500km/hから600km/hに達し、最大飛行高度も約5000mに及ぶ。プロペラ機と比較して4倍の速度で飛来するため、迎撃の難易度は飛躍的に上昇した。ゼレンスキー大統領は9月28日の演説で、ジェット推進型ドローンの迎撃率が57%にとどまっている現状を明かし、対策の緊急性を強調している。その性能から、実質的に「安価な巡航ミサイル」と同等の脅威と化している。

時代遅れと評された兵器の有用性が再評価される
ゲパルトは1973年に配備が開始された古い兵器だが、ウクライナの防空戦で再び脚光を浴びている。trafficnews.jpの報道によると、2022年4月にドイツから最初の50両が供与された当初、その基本設計の古さから「象徴的な支援に過ぎない」との評価もあった。しかし、実際の戦場では高価な対空ミサイルに頼ることなく、35mm高射機関砲を用いて自爆ドローンや巡航ミサイルを効率的に撃墜している。インフラ防護という任務において、コストパフォーマンスの高い近接防空兵器としての地位を確立した。
無人機戦で鍵となる「適応力」と「人」の存在
Wedge ONLINEは、ウクライナにおけるドローン戦の教訓として、技術そのもの以上に「適応できるチーム」の重要性を指摘している。ウクライナ軍の指揮官は、「最も重要なのは技術ではない。重要なのは人だ」と述べており、戦況に応じてロボット技術を柔軟に組み合わせる能力が戦果を左右している。ウクライナでは、空中ドローンだけでなく海上ドローンの開発も急ピッチで進んでおり、海軍の戦闘能力再構築が急務となっている。日本を含めた各国にとっても、こうした変化への対応力は現代戦における重要な示唆となる。
冬を控えたインフラ攻撃と防空の限界
本格的な冬の到来を前に、ロシア軍はウクライナのエネルギー施設への攻撃を激化させている。ジェット推進型ドローンの発射拠点が増設される中、ウクライナ軍はゲパルトのような既存装備の運用を最適化し、防空網を維持する方針だ。しかし、ミサイルやドローンによる飽和攻撃の脅威は増す一方であり、迎撃率の向上は依然として大きな課題である。果たして、ゲパルトのような近接防空兵器は、今後も激化するドローン攻撃に対して有効な防壁であり続けられるだろうか。