フランスのマリーヌ・ルペン氏はオルレアンでの集会で、2027年4月の大統領選に向けた選挙戦を開始しました。全国的な抗議活動や暴動が続く中、ルペン氏は「法の支配を回復する」と公約し、治安維持を重視する姿勢を強めています。.
オルレアンでの選挙戦開始と「法の支配」への公約
国民連合(RN)の党首であるマリーヌ・ルペン氏は、オルレアンで開かれた集会で支持者約8,500人を前に演説を行いました。オルレアンは、1429年にジャンヌ・ダルクがイギリス軍の包囲を解いた歴史的な場所であり、極右勢力にとって国家抵抗の象徴とされています。ルペン氏は集まった支持者に対し、自身が大統領に選出された場合には” 法の支配を回復する “と宣言しました。

ルペン氏は、エマニュエル・マクロン大統領の現政権が治安維持に対して無力であると厳しく批判しています。演説の中で彼女は、現政権が暴力と無力さの間に人質に取られていると主張しました。さらに、国境の強化やフランス国籍の取得要件の厳格化を掲げ、フランス国籍は再び、継承または獲得される特権となるでしょう
と述べました。また、国民連合のジョルダン・バルデラ党首は、16歳への刑事責任年齢の引き下げや「犯罪者」の国外追放を主張し、喝采を浴びました。
抗議デモの激化と政治的対立の深化
フランス全土では、9月21日にパリの郊外から始まった学生による抗議活動が、教師不足や劣悪な施設環境への不満をきっかけに全国へ波及しました。デモは生活費の高騰に対する不満と融合し、10月17日には50万人から80万人規模の全国的な抗議活動へと発展しました。この過程で、一部の暴徒が公的機関を襲撃し、リムージュの市庁舎が放火されるなどの事態も発生しました。

内務省の報告によると、一連の騒乱で2,000人近くが逮捕され、1,000人近い警察官や憲兵が負傷しました。一方で、強硬左派「不屈のフランス(LFI)」のジャン=リュック・メランション氏は、抗議活動を支持し続けています。これに対し、ルペン氏やバルデラ氏は、LFIが「 insurrection(反乱)の炎を煽っている」と激しく非難し、同党が国家の最高職に就く資格はないと主張しています。
世論への影響と大統領選に向けた動向
世論調査機関Odoxaのデータによると、ルペン氏の支持率は37%から38%で首位を維持しており、メランション氏は18%から18.5%の支持を得て2位につけています。ルペン氏がメランション氏との決選投票に進んだ場合、ルペン氏が勝利するとの予測も示されています。.

経済面では、ゴールドマン・サックスのシャロン・ベル氏が、財政赤字の削減には痛みを伴う措置が不可欠であると指摘しており、マクロン政権の経済政策は厳しい状況にあります。市場ではフランスの株式や債券がボラティリティを高めており、投資家は今後の政治的展開を注視しています。
治安対策と今後の課題
オルレアンでの国民連合の集会に際しては、大規模な反対デモも発生しました。当局はこれに対し、約3,000人の警察官や憲兵、さらには装甲車や放水装置を配備する異例の警備体制を敷きました。反対デモを組織した側は、国民連合の集会を「危険」と批判しましたが、警備当局は「ここでは混沌は許さない」と宣言し、夜間の外出禁止令を敷くなど厳重な警戒を行いました。
大統領選まで残り半年となる中、次期大統領は厳しい財政状況に直面することになります。フランスの債務と財政赤字はすでにEUの制限を超えており、マクロン政権はコスト削減に向けた予算案の成立に難航しています。ルペン氏は、自身の陣営が「秩序を回復できる唯一の勢力」であるとアピールを続けていますが、有権者が経済的な不安と治安維持の必要性をどのように天秤にかけるかが、2027年春の決戦に向けた最大の焦点となります。