試合は3-2とブリュワーズが1点をリードして迎えた9回表に動いた。パドレスの反撃の好機で打席に立ったタイ・フランスは、守護神トレヴァー・メギルから高々と舞い上がる大飛球を放った。球場の深澤左翼方向へ飛んだその打球は、上空のトラスやケーブルに当たり、ほぼ真下に落下して左翼手ジャクソン・チョウリオのグラブに収まった。
物議を醸した9回の珍事とアメリカン・ファミリー・フィールドのグラウンドルール
アメリカン・ファミリー・フィールドのグラウンドルールでは、フェア地域の上空にある屋根、屋根のトラス、またはケーブルに打球が当たった場合、それは「インプレー」と定められている。もし野手にキャッチされれば打者はアウトになり、走者は自己責任で進塁できる。これに対し、ファウル地域の上空であれば「デッドボール」となる。パドレスのクレイグ・スタンメン監督は打球がファウル地域で当たったと主張してリクエスト(ビデオ判定)を要求したが、判定はフェア支持覆らず、フランスはアウトとなった。

「今日の審判員のミーティングで、もしボールが屋根に当たったらどうなるかについて冗談を言っていたんだ。可能性は低いが、それが起きた。ルールでは、審判団がフェアと判断してボールが落ちてくれば、捕球できることになっている。屋根に当たってファウルになれば、ファウルボールだ。判定は、屋根のフェア地域に当たり、外野手が捕球したというものだった。不運にも、我々にとっては厳しい不運な当たりだった。本塁打になりそうだったがね。ただ、運が向いていなかった」
クレイグ・スタンメン、パドレス監督(MLB.com)
試合前の審判団との打ち合わせでまさにこの特殊なルールについて話し合っていたとスタンメン監督は振り返っており、不運な当たりに肩を落とした。パドレスのベンチや選手からは、進歩した現代のトラッキング技術を活用して正確な判定や救済措置を導入すべきだという声があがっている。
データと目撃証言が分かれる本塁打の行方
フランスの打球がもし屋根に遮られていなければ本塁打になっていたのかどうかについて、専門家の間やデータ分析でも意見が分かれている。Statcastの計測によると、打球速度は105.3マイル(約169.5キロ)、打球角度は49度を記録した。
https://x.com/AdamMcCalvy/status/2106596345360564675
「そこに突っ立って見ていたが、(ボールはスタンドへ)入るところだったし、フェアのままいっていた。ワイヤーに当たって右に曲がり、相手野手に捕球された」
タイ・フランス、パドレス内野手(ESPN)
ブリュワーズのパ・マーフィー監督は、打球は確実にファウル方向に曲がっていったと主張する一方で、勝利の立役者となった捕手のウィリアム・コントレラスは本塁打になっていたかもしれないと認めるなど、現場の受け止め方も様々であった。
ウィリアム・コントレラスの決勝弾とブリュワーズの逃げ切り
屋根に阻まれたドラマの影で、試合の主導権を握ったのはブリュワーズの小刻みな得点と終盤の粘り強さだった。パドレスが2点を先制したものの、3回裏にジャクソン・チョウリオが2ラン本塁打を放って同点に追いついた。

そして7回裏、フルカウントからウィリアム・コントレラスがアドリアン・モレホンから右中間へソロ本塁打を放ち、これがチームにとってこの日初めてのリードであり、結果的に決勝点となった。パドレスは8回や9回にも走者を置いたが、最後はブリュワーズの救援陣が踏ん張り、本拠地での初戦をもぎ取った。