トルコ南部沿岸のケコバ島付近、水深約30メートルの海底で発見された沈没船が、考古学者らの調査により約4700年前のものであることが判明し、世界で最も古い沈没船である可能性が高いとされています。この発見は、当時の交易ルートや海上生活を解明する貴重な手掛かりとなります。.
世界最古の沈没船を特定した潜水調査
トルコ文化観光省が14日に発表した声明によると、この沈没船はトルコ南部のケコバ島沖、水深約30メートルの海底で発見されました。発掘調査を指揮したアンタルヤのアクデニズ大学、ハカン・オニズ教授によれば、この船が最初に見つかったのは4年前のことです。当初、研究チームは沈没船から回収されたアンフォラ(古代の貯蔵容器)について、比較的新しい時代のものと推測していました。しかし、オニズ教授がエジプトのギザのピラミッド付近で出土したアンフォラに関する論文を読み、沈没船の遺物との類似性に気づいたことで、再調査の機運が高まりました。
アンフォラが明かす4700年前の交易網
船内からは、当時の交易品であった多数のアンフォラが回収されました。トルコのエルソイ文化観光相は、これらの粘土を分析した結果、ヨルダン渓谷の工房で製造された可能性が高いと指摘しています。この事実は、当時の船がエジプトやトロイ、クレタ島といった広範囲の地域を結び、海上ネットワークを形成していたことを裏付けています。研究者らは、この船がレバント沿岸を出発し、トロイやクレタ島へ向かう途中で難破したと推測しています。アンフォラは主にワインやオリーブオイルの運搬に使用されていましたが、一部には特殊な刻印と二つの穴が見つかりました。
船上で乳製品を製造していた可能性
回収されたアンフォラの中には、チーズやバターの製造に使われた可能性を示唆するものがありました。研究者らは、当時の船乗りたちが航海にヤギを連れ込み、その乳から乳製品を作っていたのではないかと分析しています。この発見は、数千年前の航海における乗組員の日常生活を具体的に描き出すものです。
発掘調査を指揮したハカン・オニズ教授は、アンフォラだけでなく、現場で発見された錨(いかり)やその他の遺物も同じ時代のものであることが分かったと述べています。
専門家による年代特定と確信の根拠
調査の信頼性を高めるため、研究チームはアンフォラ研究の第一人者であるオーストラリアの考古学者、カリン・ソワダ氏を現場に招きました。遺物の詳細な調査を経て、ソワダ氏と研究チームは年代について合意に達しました。これら遺物の年代が4400年から4700年前のものであるという結論は、ギザのピラミッドの建設時期とも重なります。一連の検証作業により、研究者らはこの沈没船が「世界最古」であるという大まかな確信を得るに至りました。
海に眠る古代史のさらなる解明へ
今回確認された沈没船は、青銅器時代の海上交易を解明するための新たな知見を提供し続けています。トルコ文化観光省は、この発見が当時の船乗りたちの日常生活や、地域間の経済的な結びつきを理解する上で非常に重要であるとの認識を示しました。今後も現場での詳細な遺物調査が続けられる予定であり、古代の海運ルートに関する歴史的な空白を埋める成果が期待されています。