韓国政府が年内に目標としていた戦時作戦統制権移管に向けた「完全運用能力(FOC)」の検証について、米国側が難色を示していることが13日までに分かった。北朝鮮のロシア派兵による実戦経験の蓄積を受け、安全保障環境の変化を重く見る米側の慎重姿勢が鮮明となっている。
FOC検証の年内完了に黄色信号
戦時作戦統制権の韓国軍への早期移管を目指す韓国政府にとって、大きな障壁が生じている。朝鮮日報(chosunonline.com)によると、韓米が統制権移管の条件として設定した3段階の検証プロセスのうち、第2段階にあたる「完全運用能力(FOC)」の検証完了について、米国側が難色を示している。この検証が年内に完了できなければ、早ければ来年にも移管を実現させるという韓国政府の構想は、計画の修正を余儀なくされる可能性が高い。
韓米定例安保協議(SCM)の先送り検討
韓国政府は、FOC検証の完了に向けた時間を確保するため、例年11月に開催される韓米定例安保協議(SCM)を12月に延期する案を推進している。通常、この会議は韓米両軍のトップが主宰する韓米軍事委員会(MCM)の直後に開かれるが、今年は日程調整を急ぐ方針だ。保守系最大野党「国民の力」の韓起鎬議員は、「大統領任期内という政治的日程に固執し、韓国の防衛体制を弱める拙速な移管が進められている」と懸念を表明した。また、別の外交消息筋は、青瓦台(大統領府)が米国側への説得に外交力を集中させ過ぎる現状に警鐘を鳴らしている。

変化する朝鮮半島の安全保障環境
在韓米軍のザビエル・ブランソン司令官は14日(米東部時間)、ワシントンでのセミナーにおいて、作戦統制権移管の条件が変化したことを明言した。連合ニュースによると、ブランソン氏は「新聞に目を通すだけでも条件が変わったことが分かる」と述べ、北朝鮮による弾道ミサイル発射やロシアへの派兵といった情勢の変化を重視する姿勢を示した。同氏は、移管に向けた「計画変更」の必要性に言及し、単なる時期の調整ではなく、中核的な任務を完璧に遂行する能力が不可欠であると強調している。
分散型訓練への転換と北朝鮮の脅威
ブランソン司令官は、北朝鮮がウクライナ戦争を通じて実戦経験を積んでいる現状を警戒している。AFPBB Newsおよび中央日報(日本語版)によると、同氏は毎年2回の大規模な指揮所演習から脱却し、朝鮮半島全域を活用した「分散型訓練」への転換を提唱した。これは、北朝鮮側から標的となるリスクを低減し、現代戦の教訓を反映させる狙いがある。韓国軍合同参謀本部はこれに対し、連合防衛態勢を維持するため、より実戦的かつ効率的な演習方法について米側と緊密に協議していると説明した。

今後の移管プロセスと不透明な見通し
韓国政府は政治的決定としての統制権移管を急ぐ構えだが、米軍当局は主要能力の確保を最優先する姿勢を崩していない。ブランソン司令官は、自身が移管時期を決定する権限はないとしつつも、大統領や国防長官に対し、条件を満たさない状態で移管を実行した場合のリスクを説明する考えを示した。今後、12月の開催を目指すSCMにおいて、FOC検証の扱いと移管目標時期を巡る両国の調整が焦点となる。北朝鮮の軍事動向が刻々と変化する中、移管の条件充足をめぐる韓米間の綱引きは当面続く見通しだ。