アフリカ・スーダンで続く内戦が、10月に発生から3年半を迎えた。国連が「世界最悪の人道危機の一つ」と指摘する一方で、国際社会の関心は低いままだ。国軍と準軍事組織の権力闘争は、地域大国やロシアの介入により混迷を極めている。
内戦の火種となった二人の権力者の対立
スーダン内戦の発端は、軍事組織を束ねる二人の実力者による主導権争いだった。毎日新聞によると、国軍トップのブルハン氏と、準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」を率いるダガロ氏は、かつて2019年のクーデターで共闘し、バシル独裁政権を打倒した経緯がある。その後、両者は民主化勢力を抑え込み権力を握ったが、民政移管プロセスにおける「国軍とRSFの統合」を巡り対立が激化した。2023年4月、首都ハルツームでの市街戦を皮切りに、紛争は国土全域を巻き込む大規模な内戦へと発展した。
広がる支配地域と金鉱山の利権
中東の衛星テレビ局アルジャジーラの報道では、現在の支配状況は二分されている。国軍は首都ハルツームのほか、北・東・中部の大部分を勢力下に置く。対するRSFは、ダルフール地方のほぼ全域を含む西部の多くを掌握した。RSFはダルフール地方にある金鉱山の利権も握っており、これが軍事資金の源泉となっているとみられる。最近では、両陣営の支配地域が接する南コルドファン州で戦闘が激化しており、国軍側が攻勢を強める動きを見せている。
1000万人以上が家を追われる深刻な人道危機
内戦の長期化は、市民生活に壊滅的な打撃を与えている。米国の調査団体「ACLED」などの集計によると、過去3年半の紛争で少なくとも5万9000人が死亡し、1000万人以上が住居を追われた。国連機関などで構成される連合体「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」は、今年5月時点で人口の4割以上に相当する約1950万人が深刻な飢餓に直面していると警鐘を鳴らした。さらに、今年だけで約82万5000人の5歳以下の子どもが、重度の急性栄養不良に苦しむとの予測も出されている。
ノーベル平和賞の候補に挙がるも受賞に至らず
スーダンの人道危機は国際社会の優先順位において、ウクライナや中東の紛争と比較して低い位置に置かれている。毎日新聞によれば、過去2年のノーベル平和賞ではスーダンの人道支援団体が有力候補に挙がっていたが、いずれも受賞には至らなかった。国際的な注目度が低い「忘れられた戦争」とされる中で、トランプ米大統領の関心も薄いと報じられている。一方で、ロシアや地域大国はそれぞれの利権を狙って介入を強めており、現地の状況はさらに複雑化している。
混迷を極める紛争の行方
スーダン内戦の長期化には、豊富な資源を背景とした地域諸国の思惑が複雑に絡み合っている。ロシアは戦況に応じて支援先を乗り換えるなど、代理戦争の構図が鮮明になっている。血塗られた内戦の歴史を抱える同国において、今後どのような形で和平の糸口が見いだされるのか。国際社会の関与が薄いまま、利権に群がる国々の介入によって混迷が続くのか、事態の収拾に向けた具体的な道筋は見えていない。