2026年10月5日、ネブラスカ州の集会でドナルド・トランプ米大統領が着用していたスーツのブランドが波紋を呼んでいる。ジャケットの裏地から「Jos. A. Bank(ジョス・エー・バンク)」のラベルが露呈し、同ブランドが海外生産を主としていることから、「アメリカ・ファースト」の理念との矛盾を指摘する声がSNS上で相次いでいる。
ネブラスカ州の集会で露呈したスーツのブランド
米ネブラスカ州で開かれた集会に、ドナルド・トランプ米大統領が登場した。その際、トランプ氏がステージを横切る折に見せたジャケットをはためかせる仕草が、思わぬ注目を集めることとなった。米紙ニューヨーク・タイムズの報道によると、この動作でジャケットの裏地が一瞬めくれ、着用していたスーツが米国発の老舗紳士服ブランド「Jos. A. Bank(ジョス・エー・バンク)」であることが判明した。
同ブランドの公式サイトでは「Everyday Low Prices(毎日低価格)」というスローガンが掲げられている。トランプ氏はこれまで、イタリアの高級ブランド「Brioni(ブリオーニ)」のオーダーメイドスーツを愛用してきたことで知られていた。ブリオーニのネイビーウールスーツは6000ドル(約95万円)以上で販売されており、今回の安価な既製服への変更は、公の場でのスタイルとして異例の事態となった。
Trump’s Jos. A. Bank Suit During Nebraska Rally Raises Eyebrowshttps://t.co/JwV1ZulxpG pic.twitter.com/32xg2bK67A
海外生産と「アメリカ・ファースト」の整合性
トランプ氏がいつからブリオーニ製から切り替えたのか、また普段からジョス・エー・バンクを好んで着用しているのかは現時点で明らかになっていない。しかし、この選択が自身の政策方針との矛盾を突く火種となっている。英インデペンデント紙は、米国内での工場建設や雇用創出を強力に推進してきたトランプ氏が、製造の大部分を海外に依存する企業の製品を選んだことに、ネット上で疑念が呈されていると報じた。
メンズウェアライターのデレク・ガイ氏は、自身のX(旧Twitter)で以下の事実を指摘した。
Interesting. Jos. A. Bank suits are all made overseas, typically in countries like China and Bangladesh. They carry an associate label called Joseph Abboud, which is made in the United States.I wonder why Trump choose the cheap import over the US-made suit. https://t.co/llJav8W8sx pic.twitter.com/YKGQ23Rs7H
- ジョス・エー・バンクのスーツは主に中国やバングラデシュなどの海外で製造されている。
- 同社には米国製造の「Joseph Abboud」という関連ブランドが存在する。
- トランプ氏がなぜ米国製ではなく、海外製の安価な輸入品を選択したのかは不明である。
SNSで拡大する「偽善」との批判
トランプ氏のスーツ選択に対し、SNS上では厳しい意見が飛び交っている。民主党の広報担当者であるジョシュ・ドーナー氏はXで、「大規模な貿易戦争の真っ只中、トランプ氏は米国製ではないスーツのラベルを誇らしげに見せつけた」と皮肉を込めた投稿を行った。
一般のユーザーからも、トランプ氏が掲げる「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」との整合性を問う声が上がっている。「つい数日前まで製造業の復活を訴えていたのに、中国製のスーツで登場するのは偽善ではないか」「国内で増税を強いる一方で、自身は米国製品を使わないのか」といった批判が相次いでいる。ホワイトハウスが集会直前に「アメリカの製造業は復活した!」とSNSで発信していたことも、こうした反発を強める一因となった。
今後の政策判断への影響
トランプ氏が今回、なぜあえてジョス・エー・バンクのスーツを選んだのか、その意図は公式には説明されていない。しかし、製造業の国内回帰を旗印に掲げる政権にとって、首脳自身の身なりが「海外製品」であるという事実は、政治的なメッセージとして無視できない影響を与えている。
今回の騒動は、トランプ氏が今後進める貿易政策や製造業支援策に対し、国民がより厳しい視線を向ける契機となる可能性がある。政権が「アメリカ・ファースト」の理念を実体としてどう示していくのか、その言動の整合性は今後も注視される見通しだ。
